「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

30歳になっても天野純は攻め続ける。 「停滞は退化だから。決断を正解にしたい」 [天野純、蔚山現代FCへ期限付き移籍]

 

天野純が新たな戦いの場に選んだのは、海を挟んだ隣国だった。

かつてJリーグでもプレーしたホン・ミョンボ監督率いる韓国Kリーグ1部の蔚山現代FCは、以前から天野に興味を示していた。1年前の冬も、半年前の夏も、移籍ウインドーが開くたびにマリノスが誇るレフティーへ熱視線を送っていた。

 

 

蔚山にとっては3度目の正直で、今回は本気だった。Kリーグ優勝とACL制覇を目指すチームのアジア枠選手として獲得に乗り出し、30歳のプレーヤーに対して破格の好条件を提示。攻撃の核として大きな期待を寄せており、ホン・ミョンボ監督自らがオンライン交渉の席に登場したことも本気度の表れと考えていい。

 

 

天野は常々言っていた。「Jリーグならマリノス以外は考えられない」と。

しかしながら海外なら無条件で飛び出すわけでもない。

 

 

2019年の夏、マリノスからベルギー2部のロケレンへ期限付き移籍した。性質の異なるサッカーや慣れない海外生活に悪戦苦闘。欧州でのさらなるステップアップを目指して奮闘したが、クラブの経営破綻という予想できない形で帰国の途についた。

 

 

「ロケレンでの経験があるから海外の大変さは知っている。日本は住みやすいし、マリノスは居心地が良い」

 移籍に理由を求めるとすれば、そこか。「安全な選択もある」という考えが、成長のためには足枷になっている恐れがある。

 

 

マリノス復帰後の1年半でたしかな成長を見せた。前方向への意識を強め、ゴールやアシストといった得点関与への意欲も増した。プレーヤーとしては間違いなく進化している。

だが、チーム内での立ち位置はマルコス・ジュニオールの控えで、トップ下の2番手に過ぎない。誤解を恐れず言えば、年齢が上がったのに出場時間が減っているこの1年半で市場価値は下がった。

 

 

シーズンが終わった昨年末、こんなことをポツリとつぶやいた。

 

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