「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

水沼宏太が複数のオファーを断って残留した理由。 「新しい選手と一緒にマリノスのエンブレムを背負って」

 

2020年、水沼宏太は満を持してマリノスに帰還した。

離れていた9年半で、何にも変え難い経験と自信を身につけた。プレーヤーとして評価されたからこその復帰オファーに「今の自分ならマリノスで結果を残せる。昔の自分とは違うというところを見せたい」と鼻息を荒くしていた。

 

 

コロナ禍とともに過ごした以降の2年間は、しかし青写真通りには進まなかった。試合数は順調に増えていったが、レギュラーとしての立ち位置を確立できず、プレータイムはむしろ減っていく。2年連続でチーム内アシスト王に輝いたとはいえ「もっと試合に出たい。自分はもっとできる」という鬱屈とした思いが日増しに強くなっていった。

 

 

2021年が終わってから届いた複数のオファーは「素直にうれしかった」。忘れてしまった感覚を思い出させてくれたと言い換えてもいい。マリノスが彼を呼び戻そうとした時と同じように、ひとりのサッカー選手として評価され、チームに必要とされる喜びを感じることができた。

そのうえで自分が何をしたいのか、すべきなのか熟考を重ねる。若々しい容姿や言動で忘れがちだが、水沼はいつしか31歳になっていた。『ベテラン』という形容詞を用いるには気が引けるとはいえ、キャリア形成を考えるべき年齢に差し掛かっているのも事実だろう。

 

 

 

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