「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

マリノスタウンに日本代表招集の齋藤学を除く全選手が顔を揃えた (藤井雅彦) -1,450文字-

12日、3-0で快勝を収めたフロンターレ戦以来3週間半ぶりにマリノスが練習を行った。周知のとおりW杯中断期間中に、チームは長期オフを設けてリフレッシュを図った。多くの選手は横浜を離れて南国や実家などでリラックスしてきたようだ。ちなみに榎本哲也や藤本淳吾、小椋祥平らは家族で沖縄旅行に出掛け、栗原勇蔵と兵藤慎剛はACLでのリベンジを果たすため(?)に韓国へと向かったようだ。

12日のマリノスタウンには日本代表招集の齋藤学を除く全選手が顔を揃えた。長期離脱者はおらず、全員が午前と午後のフルメニューをこなした。中断期間に入ってすぐ胆のう摘出手術を受けた中村俊輔も元気な姿を見せ、練習後には「へそが変な感じになった。でも肉はちゃんと食べているよ!」とシャツをめくって記者陣の笑いを誘う。表情は柔らかく、久しぶりのサッカーを楽しむ様子に、安堵の一言である。

シーズン途中でこれだけ長いオフを挟むのはいつ以来だろうか。今シーズンの始動日前のオフ期間は4週間だった。元日の天皇杯決勝まで戦った影響でオフを短くせざるをえなかった。一方、今回のオフ期間は前記したとおり3週間半で、開幕前とほとんど変わらない。いまの選手のコンディションは、実質的にはオフ明けに近い状態ということになるが、どうやら実際は違うようだ。それについては篠田洋介フィジカルコーチの力説を引用させてもらう。

 

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「序盤戦は結果的に中位の成績だった。選手にはもっとやらなければいけないという意識もあるだろうし、今日までの自主トレにもそれが反映されていたと思う。年末年始のオフ明けが0からのスタートの状態だとすると、いまはシーズン途中ということもあるので50~60%の状態にある。そこからのスタートなので100%に上げるのはそこまで大変な作業ではない」

 次に公式戦までの準備期間はどうか。開幕前は4週間の準備期間で、これは樋口靖洋監督曰く「理想よりも1週短い」スケジュールであった。決して後付けではなく、最初から懸念していた準備期間の短さで、蓋を開けてみるとそのとおり悪い結果に出てしまった。それが今回は最初の公式戦である天皇杯2回戦まで4週間半の時間がある。わずかながら開幕前よりも準備期間は長いというわけだ。

中断期間に入る前から指揮官は「中断明けはフィジカル的に追い込む。追い込んだという実感が湧くくらいのトレーニングをする」と予告していた。その言葉どおり長期オフ明け初日から二部練習を敢行し、合計して約3時間半のトレーニングを行った。戦術練習はおろかボールトレーニングすらほとんどなく、多くの時間をインターバル走をはじめとするフィジカルトレーニングに割いた。これは昨年同様に新潟県十日町で行うキャンプの途中まで続く模様で、4週間半のうちの1週間半をフィジカルに費やすことになる。反攻の始まりはフィジカルの強化から、ということだ。

そうしてチームを立て直すと同時に進めなければならないのが補強だろう。移籍ウインドーはまだ開いていないが、他チームの動向を見ると少しずつマーケット全体が動き出している。移籍は相対的な側面もあるので、マリノスの名前が新聞紙上を賑わすのはこれからか。補強は最前線にターゲットを絞っている模様で、外国籍選手の獲得が有力視されている。
チームが再始動し、後半戦の巻き返しに向けてひとまず順調に始動した。対してフロントの動きはとても静かで、まずは静観を貫いているように見える。それはもしかしたら嵐の前の静けさなのかもしれない。

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