「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

雨風があっても試合を行うのがサッカーというスポーツ。 いわゆる「泥んこサッカー」で大切な3つのポイントは・・・ [下平匠の「匠の視点」]

 

匠の視点vol.2

構成:藤井 雅彦

 

 

 

 

OBの下平匠氏が横浜F・マリノスについて語り尽くす『匠の視点』。

第2回は、先日行われたサガン鳥栖戦の回顧とともに、3勝3分1敗と上々の成績で終えた序盤戦を総括する。

強い雨風や水たまりといった環境面についての指摘は現役プレーヤーだからこその視点。パスをつなぐことすら難しい試合を「個人的にはとても面白かった」と語った理由とは。

そして序盤戦のパフォーマンスで目を引いた選手を3人挙げてくれた。

「日本代表で活躍するマリノスの選手を見たい」

後輩たちへの熱いエールは必見だ。

 

 

 

いわゆる“泥んこサッカー”で大切な3つのポイントは……

 

こんにちは。南葛SCの下平匠です。

前回のコラムから約1ヵ月が経ちました。おかげさまでたくさんのファン・サポーターに読んでいただけたみたいで、SNSなどでたくさんの反響をもらいました。皆さんの声は新しい試みへのモチベーションになりますし、気付きも与えてくれます。感想や意見など、今後もよろしくお願いします。

それにしてもサガン鳥栖戦はすごい雨風でしたね。僕はニッパツ三ツ沢球技場に足を運んでいたわけではないのであくまでも映像を通しての感覚ですが、次第に雨足が強くなって水たまりが増えていくピッチコンディションは選手にとって一番やりにくい。

いきなりの余談ですが、台風が接近している状況で試合を行ったジュビロ磐田戦(※2017年10月29日@エコパ)を思い出しました。あの時は右サイドバックで出場して、土砂降りの中でアダイウトン選手(現・FC東京)とマッチアップしたことだけを覚えています。しっかりパスをつなげた自信は、正直ありません(笑)。

 

[2017年10月29日 J30節 磐田戦のスタメン]

 

 

話を鳥栖戦に戻しましょう。

不確定要素が多い試合を分析するのはとても難しいですが、雨風があっても試合を行うのがサッカーというスポーツ。幼少期や育成年代から長年ボールを蹴り続けているJリーガーであれば、同じような経験をしたことのある選手が多かったと思います。いわゆる“泥んこサッカー”です。

 

 

心身ともに苦しい環境だからこそ、まずは身体を張って戦うことが重要になる。すぐにボールが止まってしまうことで球際の攻防が強調され、見ごたえのある肉弾戦が繰り広げられたました。これもサッカーと考えれば、個人的にはとても面白い試合でした。

こういった環境での試合で大切なのは、状況判断ではないでしょうか。具体的に、以下の3つをポイントとして挙げたいです。

 

・ピッチのどのあたりは比較的コンディションが良いのか

・水たまりの位置を把握し、どこに蹴るとボールが止まるのか

・どんな弾道のボールをどこに蹴れば相手が嫌がるのか

 

マリノスと鳥栖はリーグ全体を見渡しても、しっかりボールをつなげるチームだと思います。ですがこの試合に限ってはそれが難しく、特に後半に入ってからは両チームがある程度割り切って相手の背後を狙ったボールを増やした印象でした。だからこそ蹴るボールの質が大切で、それ次第ではもう少しチャンスを作れたかもしれません。

 

J5節 鳥栖戦 スタメン

 

例えば、低い弾道の浮き球ではワンバウンド目でスリッピーになってGKにキャッチされたり、エンドラインを割ってしまう可能性が高い。でも、あえて高い弾道にするとボールが流れにくく、DFは処理が難しい。処理できたとしても遠くにクリアするのが難しい。

 

 

これは雨と関係のない話ですが、大樹くん(飯倉大樹/現・ヴィッセル神戸)はリードしている状況であえて高くパントキックを蹴っていましたよね。あのボールは落下地点が読みにくくて処理がしづらく、遠くにクリアするのが難しい。ビハインドの対戦相手からしたらすごく嫌だったと思います。チームメイトとしては頼もしかったけど(笑)

 

 

ただ、こういった意見はあくまでも映像を通してのもの。そういった判断すら難しい状況だったかもしれないので、選手の皆さんはとても大変だったはず。序盤はなかなか体が温まらなかっただろうし、ケガをしてしまう不安が頭をよぎってしまうかもしれませんし。

そんな状況でも観戦された方々の熱量には頭が下がる思いです。ファン・サポーターの方々に僕からかける言葉があるとすれば、ただひとつ。

 

・しっかりお風呂に浸かって温まって、風邪をひかないでください。

 

やっぱりこれでしょう。

 

 

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