「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

マスカット監督は選手交代でチームにエナジーを吹き込む。 そしてセットプレーという新たな武器を手に入れる [ACL3節 シドニーFC戦レビュー]

 

角田涼太朗の左サイドバック起用も“ほぼぶっつけ本番”

 

全北現代戦に続いて大苦戦だった。

チームを窮地から救ったのはGK高丘陽平だ。14分、マリノスの最終ラインを突破した相手選手との1対1の場面で、すかさず距離を詰めてシュートブロック。序盤から足取りが重いチームに失点というダメージが加わっていたら、致命傷になっていたかもしれない。今季に入り、背番号1の存在感は試合をこなすごとに増している。

 

©Y.F.M

 

こうしてGKにビッグプレーが出たあとは往々にして流れを引き寄せられるはずが、中2日での3試合目というフィジカルコンディションがそれを許してくれない。セカンドボールへの出足が遅く、ルーズボールへの反応も悪い。それどころかシドニーFCにボールを拾われる場面の多くはフリーで、まったくと言っていいほど足が動いていなかった。

 

 

とはいえ疲れていたのは相手も同じこと。時間経過とともに五分五分の展開となり、戦い方次第で勝機を見出すこともできる状況になっていく。苦しい前半を我慢して無失点でしのいだことが功を奏したというわけだ。

そしてケヴィン・マスカット監督は選手交代でチームにエナジーを吹き込む。

 

 

途中出場の水沼宏太や西村拓真、あるいはボランチの岩田智輝が運動量と勝利への意思でマリノスを活性化させた。

「1戦目、2戦目と自分たちらしさが出なくて、3戦目もやっぱり難しくなるとは思っていた。1、2試合目を踏まえて僕たちのやるべきことをしっかりやろうと臨んだけど、やっぱり一気に劇的に変わるということは試合を通してできなかったかもしれない。(監督の指示は)流れを変えることと『みんなにパワーを与えるプレーをしてくれ』とは言われた。いつもそうだけど(途中から)出た選手たちがどれだけ中の選手たちの気持ちの部分も変えられるかというところはすごく大事になってくる」

 

 

水沼宏太らしい言葉でチームの現状とこの日の役割を語った。

殊勲の角田涼太朗は本職のセンターバックでは左サイドバックとしての途中出場で期待に応えた。「ほぼぶっつけ本番の状態だったけど、誰がどのポジションで出場してもチームのやり方は変わらない」と本人が語ったように、選手層の厚さとスタイル共有はマリノスのストロングポイントだ。

 

 

思い返せばリーグ序盤もそうだった。西村のトップ下や小池龍太のボランチ起用は、例えばプレシーズン段階から仕込んでいたなど入念に準備した末の一手ではない。ケガ人ガン連続して台所事情が苦しいことを見かねた指揮官が、ほとんど準備期間がない中で適性を見抜いて大胆起用した。

ギリギリの戦いは一目瞭然でも、こうして勝点を積み上げられているのは指揮官の功績でもある。

 

 

セットプレーからの得点が増えたのは偶然か、必然か

 

初戦のホアンアイン・ザライFC戦に続いてセットプレーから得点が生まれた。

キッカーを務めた水沼は雄弁に語る。

「僕と(西村)拓真と(岩田)智輝も含めて、あそこを狙っていこうという話はしていたので、その狙い通りに決められてよかったと思う」

 

 

ニアサイドへの鋭いボールに西村が飛び込んでコースを変え、ゴール前のスクランブル状態へ持ち込む。レオ・セアラは詰め切れなかったが、相手DFも大きくクリアすることはできなかった。

こぼれ球を押し込んだ、いやねじ込んだ角田のシュートは利き足とは反対の右足だった。

 

ヨコエク

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