「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

見たいのは久しぶりの無失点ゲーム [J17節名古屋戦プレビュー] (藤井雅彦) -1,647文字-

 

今節でリーグ戦のちょうど半分を終えることになる。開幕前、マリノスは試合数のちょうど2倍の勝ち点を目標にスタートした。これは昨シーズンも同じだったが、全34試合の2倍にあたる勝ち点68を獲得できればリーグタイトルに限りなく近づく。そういった計算に基づいての目標数値である。

4-3-2-1_後半戦 明日の名古屋グランパス戦を終えて17試合を消化したとき、勝ち点34あるのが望ましい展開だろう。ちなみに首位の浦和レッズは現在勝ち点35。すでに途中目標をクリアしており、第17節を勝利すれば38まで数字を伸ばす。2位につけているサガン鳥栖は現在勝ち点31だから、明日勝利すればちょうど勝ち点34になる。3位の川崎フロンターレは勝ち点30のため、明日勝っても34には届かない。なるほど、勝ち点68という目標はかなり精度が高い。

マリノスは現在、勝ち点22の8位だ。言うまでもなく勝ったところで34にはまったく届かない。ここ最近の戦績も含めて、恐ろしく中位で終わりそうな予感が漂っている。この展開は非常にいただけない。なんとなく真夏を過ごし、涼しくなってきた頃には目標を見失い、あとは惰性で終盤戦を終える。優勝はおろか、ACL出場権を争うことすらままならない。これでは終盤戦のモチベーションを見つけるのが困難になってしまう。

そうならないためには当たり前の話だが勝つしかない。勝って反省し、次も勝って反省する。この繰り返しの作業しかないわけだが、ここ2試合は内容がまずまずなのに勝てない。GK榎本哲也は最近の戦いぶりを「流れがあるから」と冷静に受け止めていた。先制されていることも、そして2試合連続ドローも、現実として目をそらしてはいけない。

 

 

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名古屋3-4-1-2たしかに攻撃陣は好調で、見ている側にも躍動感が伝わってくる。チャンスも多く、ゴールの匂いが充満している。あとは前回号でも述べたようにゴール前での決定力次第なわけだが、そこに落とし穴があるような気がしてならない。攻撃はあくまで水もので、前節良かったからといって今節も好調とは限らないのだ。名古屋の状態が良いとは思えないが、それでもチャンスを作れる確証はない。

計算すべきは、やはり守備だ。再開後は3試合連続で失点しており、いずれも先制を許している。それでも1勝2分で過ごせているのは、むしろラッキーと捉えるべきだろう。以前のチーム状態であれば、もしかしたら3連敗の可能性すらあった。対戦相手の状態が悪いことも後押しして、結果的に得点できているだけと思ったほうがいい。少なくとも拠り所にしてはいけない。

見たいのは久しぶりの無失点ゲームだ。それが勝ち点3獲得への近道になるだろう。

 

【今節のキーマン】
MF 10 中村 俊輔

中断期間の練習では復活を予感さるパフォーマンスを見せていた。ストレスなくプレーできる状況が整い、自然と笑みがこぼれていた。

それなのにリーグ再開後3試合の出来が物足りない。時折らしさを垣間見せるものの、全体的にはまだまだ。中盤でのボールロストも散見される。比較基準がMVPに輝いた昨シーズンのパフォーマンスなので、どうしてもハードルは上がってしまう。

名古屋戦はいつも膠着した展開になり、セットプレーがポイントになりやすい。リスタートのキッカーとして重要な役割を果たし、その流れをオープンプレーにもつなげたい。

 

 

 

 

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