「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

ベトナムの地で戦うグループステージもいよいよ最終戦。 全北現代よ、借りたものは早めに返させてもらうぞ [ACL6節 全北現代戦プレビュー]

 

 

勝てば文句なし、引き分けでもOK

 

大前提として、勝たなければいけない試合であることを強調しておきたい。

全北現代には前回対戦で敗れている。グループステージ第2節で対戦した当時はまだベトナムの気候やピッチコンディション、あるいはACL仕様のボールに順応できていなかった。相手もほぼ同条件なので言い訳に過ぎないとはいえ、そこにミスも重なって0-1の悔しい敗戦を喫した。

敗戦直後、喜田拓也が悔しさを押し殺すように絞り出した言葉が印象的だ。

「グループステージはまだ続くのでこの悔しさを持って前へ進みたいと思うし、この借りは必ず返したい」

 

 

以降、チームは3連勝を飾ってグループ首位に立っている。試合をこなすごとに内容が上向き、コンディションやメンタルの充実も見て取れる。大きなケガ人もいない。中2日で5試合を消化した疲れがまったくないはずがないが、できる限りのターンオーバーを行ってきた。良好な状態で最終戦を迎えることができる。

心理的には勝たなければいけない試合で、それができれば文句なし。借りたものは早めに返しておきたい。

ただし、である。グループステージ突破という視点で条件を語るならば、引き分け以上でOKの試合だ。全北現代戦に敗れてからのリバウンドメンタリティの賜物で、ホアンアイン・ザライFCとシドニーFCにそれぞれ2連勝し、きっちり勝点12を奪ったからこそ得られた選択肢だ。

先行有利は戦いにおける定石。サッカーに限らず、野球でも、例えば麻雀でもそうだ。先に点数を奪えば、あとがラクになる。精神面の風上に立てることも大きいが、それ以上に選択肢を多くできることが最大の利点となる。

気持ちとしては絶対に勝たなければいけない試合。ただし最低目標を達成するためには必ずしも勝ちが必要な試合ではない。ルールやレギュレーションの中で行うスポーツなのだから、完全無視はできない。

 

 

グループ2位になった場合の計算方法

 

仮に敗れてもグループステージ突破の可能性がある。

これが非常に難解なレギュレーションで、多くのファン・サポーターが目をそらしたくなる大きな理由だろう。「とにかく勝てば(引き分け以上で)いい」は精神論としては正しいが、現状把握は絶対的に必要だ。

あまり気分の良い話ではないが、ここからはマリノスが敗れた前提の話になる。あくまでも条件整理の意味合いととらえていただきたい。

 

撮影:舩木渉特派員

 

今大会は東地区が5グループで形成されているため、そもそも各グループ上位2チームずつが決勝ラウンドに進出する一般的なレギュレーションではない。グループ2位のうち上位3チーム(5チーム中3チーム)が勝ち上がれる。

そこへヴィッセル神戸と同じグループJに入っていた上海海港がロックダウンの影響で辞退することになり、勝点計算が非常にややこしくなった。グループJのみ3チームで編成されるため、それ以外のグループは最下位のチームとの対戦を除いて計算することで公平性を保つという複雑な計算方法だ。

よって、ここからの勝点はすべてグループ最下位との対戦を除いた数字になるので、ご承知おき願いたい。

グループ最下位との対戦を除く勝点計算を現在のマリノスに当てはめてみる。現状(日本時間1日正午時点)はシドニーFCが最下位なので、4月22日の1-0と4月25日の3-0の2試合を除く計算となり、2勝1敗の勝点6となる。ちなみに全北現代はシドニーFC以外との対戦が2勝1分の勝点7なので、現状グループ2位にもかかわらず決勝ラウンド進出確定という不思議な事態に。

そのカラクリの正体は他グループとの兼ね合いにあり、ここから話はさらに迷宮入りしていく。それでも昨日までに5グループ中3グループが全日程を消化しており、ある程度の見通しが立ってきた。

グループFは大邱FCが1位突破、2位の浦和レッズが勝点7でラウンド16行きを決めている。反対に、グループIはジョホール・ダルル・タクジムが1位突破、2位の川崎フロンターレは勝点5のためここで姿を消すことに。

前述したようにマリノスは全北現代戦の結果にかかわらず、すでに勝点6を持っている。グループHの最下位は確定していないものの、マリノスはホアンアイン・ザライFCとシドニーFCの両方に2連勝しているので、いずれにしても勝点6だ。

2位になった場合、勝点7なら当確。勝点5は敗退。勝点6だと他グループとの比較へ。マリノスが敗れると、勝点6のままで動かない。

 

 

他グループの動向も関わってくるからややこしい

 

グループGで2位のメルボルン・シティは勝点6が確定している。グループJは最終節でヴィッセル神戸が傑志に勝利すると、傑志はグループ2位で勝点6となる。繰り返しになるが、マリノスが敗れてしまった場合も勝点6なので、最大3チームが並ぶ可能性が出てくる。

 

 

ヨコエク

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