「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

ピンチなのだが、もしかしたらチャンスかもしれない・・・ ラフィーニャ先発、他3名選手入れ替え [J19節柏戦プレビュー] (藤井雅彦) -2,020文字-

 

「今週は勝っていないことでのメンタル的な疲れが少し見える」

試合前日、樋口靖洋監督はこう言って現在のチーム状態を分析した。最近4試合勝ちなしなのだから士気が上がるはずもない。順位が少しずつ下がり、試合数は減っていく。季節は夏真っ盛りだというのに、チームを取り囲む空気は少し冷ややかに感じる。川又堅碁獲得のニュースのほうがよっぽど盛り上がりを見せるのだから、逆に言えば少し寂しい話である。

4-2-3-1ラフィーニャ リーグ戦が再開してから1勝3分1敗の中で、大幅なメンバー変更はなかった。あったのは左SB下平匠とドゥトラのターンオーバー、そして藤本淳吾と兵藤慎剛の入れ替わりのみ。そのほかのポジションは不動の9人だった。それが今節は大きくメンバーが変わりそうな気配である。

まず小椋祥平と小林祐三が前節のガンバ大阪戦で通算4枚目の警告を受け、今節は出場停止となる。前者のポジションには三門雄大、後者が務める右SBには奈良輪雄太が控えている。それぞれ今シーズンに入ってからも出場経験があり、大きな穴を開けることはないだろう。むしろレギュラー選手とは違う色を出してくれることを期待したい。三門は「チームの中でスイッチが入るタイミングがないと感じる」と話しており、自身がスイッチ役になれるか。奈良輪も「ベンチから見ていてアクションを起こすシーンが少ないと感じる」と話しており、とにもかくにもアグレッシブなプレーを期待したい。

先発変更は出場停止の二人にとどまらない。まず1トップは伊藤翔ではなくラフィーニャが初先発を飾ることになりそうだ。これまでは途中出場ばかりだったが、プレータイムを伸ばすことでシュートチャンスを増やし、ゴールの確率を挙げる策である。伊藤が結果を出し切れないタイミングでの登用だ。1トップで攻守にどのような機能性を見せるかは未知数だが、まずは期待が必要だ。蓋を開けてみなければわからないとはいえ、いまはこういった未知な部分に期待するしかない現状でもある。

 

 

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柏3-4-2-1 一方で、後ろ向きなニュースもある。それは攻撃のキーマンである齋藤学がコンディションに不安を抱えていること。今週に入ってから左ふくらはぎに張りを訴え、別メニューで調整する場面もあった。試合に向けて準備を整えているものの、90分フル出場は難しいだろう。そこで樋口監督がどのような起用法を見せるか。指揮官は「切り札として使うか、最初から行けるところまで行くか。ゲームプランを練った中で決めたい」と話すが、どうやらベンチスタートになりそうな気配である。その場合、先発には藤本が復帰し、兵藤と左右を入れ替える。

チームとしては踏ん張りどころなのだが、メンバーが4人変われば良くも悪くもサッカーは変わる。ガンバ大阪戦での閉塞感を見る限り、何かしらの変化は必要なタイミングで、それをある程度オートマチックに変えなければいけない場面に遭遇した。試合前やベンチでの采配が苦手な指揮官にとっては好ましい展開で、今回も実は樋口監督が打った手は伊藤→ラフィーニャの変更だけ。それにしても中断期間にわざわざ獲得した助っ人ストライカーをこれまで先発起用しなかったほうが不可解という見方すらあるのだ。

ピンチなのだが、もしかしたらチャンスかもしれない。意外ときっかけはこんなところにあったりするものだ。

 

【今節のキーマン】
DF 24 奈良輪 雄太

 小林祐三の出場停止を受けて、右SBの先発出場が決定的だ。今週に入ってからは常に主力組の一員としてトレーニングをこなし、「新鮮だった」と目を輝かせる。攻守両面でアグレッシブに動き、右サイドに限らずチーム全体を活性化させたい。 練習や練習試合でもモチベーションを落とすタイプではないが、本質的には本番向きの選手だろう。昨シーズン終盤にあったサンフレッチェ広島との天王山では出場停止のドゥトラに代わって左SBに入り、対面のミキッチを完璧に封じた。今回も「緊張すると思う」と苦笑いしたが、それとパフォーマンスの精度は無関係である。

 現時点では小林、あるいは下平匠の控えという位置付けでしかない。その序列を変えるには、今節ハイパフォーマンスを見せるのが一番だ。無難なプレーに終始するなら、奈良輪雄太である必要はない。何を求められ、何をするか、だ。

 

 

 

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