「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

ラフィーニャ、マリノスの未来を明るく照らすような活躍とゴールを [J20節徳島戦プレビュー] (藤井雅彦) -1,912文字-

 

いまのJリーグに、絶対に勝てないチームなど存在しない。首位を走る浦和レッズやサガン鳥栖、あるいは3位の川崎フロンターレにだって勝てない理由などない。勝ち点差こそあるが、対峙すればそれなりの試合をするだろう。相性や好不調はあっても、10回戦って10回負けることなど、まずありえない。

徳島3-4-2-1 その理屈で言えば、マリノスが絶対に勝てるチームもないということになるのだが、『ほぼ勝てるチーム』はあるような気がする。たとえば10回戦って、8回以上勝てるチームだ。前半戦を終えて各チームと対戦し、力量差が大きいと感じたチームはいくつかあった。

失礼ながら、徳島ヴォルティスはそのうちの1チームに該当すると思われる。前回対戦では3-0というスコア以上の差がチーム間には存在していた。あの試合だけを参考資料にするならば、今回も必ず勝ち点3を奪わなければいけない相手だ。それを肌で感じているのか、樋口靖洋監督は徳島戦を控えて「前回よりも圧倒しなければいけない」と語気を強めた。

ただし最下位に沈んでいる徳島は、この夏に積極補強を敢行している。DF村松大輔、MFエステバン、FWアドリアーノと各ポジションに実績ある選手を加え、大逆転での残留に向けて金を使っている。その結果、戦い方が明確になり、しぶとく勝ち点を稼いでいる印象もある。

終わってみれば力の差があったということになればいいのだが、戦前の段階では筆者のように格下という見方は危険かもしれない。あくまで混戦Jリーグのトップカテゴリーに籍を置くチームだ。そのチームが然るべき補強を行っているのだから、前半戦とは違うチームと考えるべきか。圧倒できればもちろんいいが、まずは接戦でも勝たなければ始まらない。

 

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4-3-2-1_ラフィーニャ 想像したくもないが、ここでの敗戦は、残留争いに片足突っ込むことを意味する。ここ数年、J1から「まさか」というチームが毎年のように降格している。今年もそんなチームが出てきそうな気配が漂っており、それだけは避けなければいけない。少しでもプレッシャーがかかる状況になったとき、チームが崩壊しないとは言い切れない。

樋口監督が就任して2年半が経過した。チームとしてのピークは間違いなく昨シーズンで、それはリーグ2位、天皇杯優勝という結果が示している。11人が好バランスを誇り、それぞれの役割も明確だった。一方で11人の機能性が高すぎるあまり、誰かが欠けたときのチーム力ダウンは避けられなかった。そういった意味でもマルキーニョスの移籍は得点力ダウンと合わせて大きな痛手だった。

今シーズンここまで、昨シーズンを上回る部分など何もない。チームとしてのスタイルの進化を目指したが、むしろ後退している。個々のパフォーマンスも上がりきらず、新加入選手がチームにもたらすプラスαも決して大きいとはいえない。それどころか、まったく戦力になっていない選手すらいるのが現状だ。

仮に徳島に敗れて残留争いに巻き込まれるならば、それは今シーズンの失敗を意味する。

 

【今節のキーマン】
FW 18 ラフィーニャ

先発デビューした柏レイソル戦でのパフォーマンスがひとつの基準になる。ただし、柏守備陣のレベルの低さと、中村俊輔が意識的に高いポジションを取ったことは見逃せない。ゴールを含めて攻撃を牽引したことに疑いの余地はないが、いくつかの要素が重なっての活躍だった。
相手のレベルは対戦しなければ判断できないが、チームメイトのポジショニングは意識的に変えられる。ラフィーニャ自身、「2列目の(齋藤)学や(中村)俊輔が近くでプレーすることが成功の秘訣」と語っている。中村が高い位置を取り、それを斜め後方から齋藤がフォローするのがベストな形だろう。

今週に入り、マリノスは川又堅碁の獲得に失敗した。それとほぼ同じタイミングでラフィーニャの1トップ起用に目処が立つのだから、チームは生き物である。ラフィーニャには、マリノスの未来を明るく照らすような活躍とゴールをお願いしたい。

 

 

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