「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

ふたりのストライカーが結果を出した。 マリノスが危なげない勝利で天皇杯3回戦進出 [天皇杯2回戦 鈴鹿戦レビュー] (無料記事)

 

先制点を決めたのは西村拓真

 

トーナメントで開催されるカップ戦は、とにもかくにも結果である。

ただでさえ昨年度大会は同じ2回戦でHonda FCにPK戦の末、悔しい敗戦を喫した。2回戦や3回戦はカテゴリーが下のチームと対戦する確率が高く、メンタル的にも難しいゲームになる。昨日対戦した鈴鹿ポイントゲッターズもHonda FCと同じJFLクラブで、注意が必要だった。

 

 

試合のポイントは先制点で、優位に進めながら点を取れないもどかしい展開は非常に危険。普段のリーグ戦と大きく異なる点だろう。敗れたHonda FC戦も先制点を与えて難しい試合にしてしまった。

それが昨日は開始9分に幸先よくゴールネットを揺らすことができた。決めたのは西村拓真で、こぼれ球をきっちり詰めた。

 

 

この日は久しぶりにストライカーポジションで先発。アンデルソン・ロペスはリーグ戦だけでなく、当該期間中の天皇杯にも出場できない。西村にかかる期待は大きく、中断期間が明けてからも点取り屋としてやってもらわなければいけない選手だ。

同じように、途中出場のレオ・セアラが試合終了間際に決めたこともポジティブに働く。これでジュビロ磐田戦に続く公式戦2試合連続弾となった。FWの仕事に相手も大会も関係ない。ゴールのみが自身のテンションを上げていく最大の良薬になる。

 

 

ロペス不在が確定している6月18日のガンバ戦以降のリーグ戦4試合、そして6月22日の天皇杯3回戦でも、西村やレオがやってくれるだろう。ストライカーたちの価値あるゴールで、マリノスが危なげなく次のラウンドへ進出した。

 

 

宮市亮の負傷は誤算だが……

 

勝利以外に得た価値は、今後につながるオプションだ。

西村拓真の得点を呼び込んだのは樺山諒乃介。積極的な仕掛けから放った右足シュートは惜しくも左ポストを叩いたが、ゴールに絡む価値を見せてくれた。

 

 

後半にはトリッキーなパスで小池裕太の得点をお膳立て。「咄嗟の判断だったけど、あそこで遊び心を持っているのが自分のいいところ」と自画自賛のアシストで、樺山だからこそのプレーだった。

 

 

ここまで苦しいシーズンを過ごしているように見える樺山だが、心は折れていない。それは試合後の言葉からもよく分かる。

「全然やんけと思われるかもしれないけど、自分がどういったプレーヤーを目指すかというのもある。マリノスにいるからには結果を残さないといけないし、もっと連係をやれよと言われるかもしれない。それはしっかり聞いているけど、だからといって自分のやり方を変えるつもりはない」

 

 

19歳の若者らしく、どんどん我を貫いてほしい。

左サイドバックで先発してマリノス初ゴールを決めた小池裕もアピールが実った格好だ。初速を生かした縦突破と強烈な左足シュートは、スペシャリティと呼ぶにふさわしい。後半途中からは左ウイングにポジションを上げてプレーしたように、複数ポジションをこなせることでチームに選択肢をもたらす存在でもある。

この試合の前半に宮市亮が負傷交代を余儀なくされた。筋肉系の故障が発生したのであれば、しばらく戦線離脱することになる。リーグ戦再開後を見据えたウイングのオプション拡充は大きなテーマで、樺山や小池裕のパフォーマンスは今後に期待できるものだった。

 

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