0‐7の処方箋(J論)

「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

ラフィーニャという“基準” [J20節徳島戦レビュー] 藤井雅彦 -1,695文字-

 

ベストではないが、ベターな試合であった。ほんのわずかに抱いていた不安など杞憂に終わり、終わってみれば力の差は大きく、順当な勝利といえる結果に終わった。

4-3-2-1_ラフィーニャ それに大きく貢献したのが、1トップに入って全得点に絡んだラフィーニャである。おそらく堅苦しいサッカー用語を用いて説明する必要などないだろう。単純に、加速力に優れる彼の存在が相手ディフェンスラインに驚異を与えた。簡単に言えば、同じ位置からの『ヨーイドン』ではよほどスピードに自信のある相手DF以外は苦しい。それどころか少し不利な位置からでも先にボールに触れる能力がある。1点目のPK獲得は彼のダッシュ力が生きた。いや、それだけで勝ち得たラフィーニャ個人の功績と言っても差し支えないだろう。

前節の柏レイソル戦に続いて先発起用されることで、当初はやや不満があったシュートへの積極性も増してきた。チーム2点目は小椋祥平の功績によるところが大きいが、ボールを受けてからほとんどゴールを見ずに、迷わず左足を振り抜いた場面にストライカーの本質を見た。トドメのチーム3点目も、藤本淳吾のお膳立てを受けて、クロスからワンタッチゴールを決めた。こうして2戦合計3ゴールと結果を出したことで不動の地位を手にした。

ラフィーニャ単体の存在感も素晴らしいが、1トップの実績を欠く選手を起用したことで、チーム全体がそれをサポートしようというメンタルになっているのが好気流を呼び込む要因になっている。中村俊輔はなかなかボールに触れられないストレスと戦いながら高い位置をキープし、齋藤学や兵藤慎剛はラフィーニャという“基準”が生まれたことで、それぞれの仕事を明確にできている。

 

 

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徳島3-4-2-1 一方、守備に目を移すと、3試合連続で失点していたセットプレーの守備はひとつの見どころだった。この試合に向けて、樋口靖洋監督は「狙われているポイントがある」と語っていた。その対策として、ニアポストのストーン役はこれまで中村ひとりだったのを、下平匠を含めたダブルストーンに変更している。しかしながら被セットプレーの回数が少なく、徳島ヴォルティスには優れたキッカーも不在だった。そのため次節以降に持ち越しの課題である。

6試合ぶりの勝ち点3によって、ひとまずは視界が開けた。おそらく今後、残留争いに巻き込まれる可能性はかなり低く、あとは中位から上位に食らいついていけるかの戦いになるだろう。とはいえ、この試合の相手は18位の徳島だった。攻守両面において光明は見えたが、課題すべてが解消されたわけではない。

マリノスは今後、20日に天皇杯3回戦・ギラヴァンツ北九州戦を挟み、次節は好調の川崎フロンターレとの一戦になる。前半戦こそ3-0で完勝したが、当時は相手がACLによる連戦だっため、マリノスが有利な立場にあった。今回の一戦はがっぷり四つだ。あるいは天皇杯3回戦でのマネジメントもポイントになるか。やっとの思いでつかんだきっかけをさらに大きなものにするのに、フロンターレは絶好の相手である。

 

 

※本試合は諸事情につき選手インタビューがございません。

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