「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

日本最高峰の戦いが幕を開ける。 マリノスは堂々の1位という立場でこの試合に臨む [J24節 川崎戦プレビュー]

 

総力戦

 

日本最高峰の戦いが幕を開ける。

昨季最終節のフロンターレ戦で見せたパフォーマンスは、実に誇らしいものだった。すでにリーグ優勝を決めているチャンピオンチームに対して一歩も引かず、マリノスのスタイルを貫き通した末の1-1ドロー。がっぷり四つに組んだ試合は、引き分けが妥当なゲームでもあった。

今季開幕直後の対戦では4-2で撃破することに成功。仲川輝人とエウベルが2ゴールずつを挙げ、ホームの日産スタジアムでライバルチームを粉砕した。結果やスコアでいえば、その再現を狙うゲームになる。

 

 

喜田拓也が意気込みを語った。

「お互いが良さを出し合って、Jリーグを引っ張っていけるようなクオリティの高いゲームを見せられれば各方面にいい影響を与えられると思う。日本サッカーも捨てたもんじゃないな、というゲームにしていきたい」

 

 

マリノスは堂々の1位という立場でこの試合に臨む。フロンターレは現在順位こそ5位だが、コロナ陽性の影響で消化試合が2試合少ない。実質的には2位といっても過言ではなく、リーグタイトルを左右する一戦になる。

ホームゲームと比べると成績が落ちるアウェイゲームだからこそ、ファン・サポーターの存在は大きな役割を果たすだろう。日本全国どこへ行ってもトリコロールのユニフォームを見かけるが、この一戦だけはひとつのユニフォーム、ひとりのサポーターの重要性が増す。

等々力競技場をどれだけマリノスカラーに染められるか。チームだけでなく、クラブとして総力戦で臨むべき一戦だ。

 

 

目の前の事象に一喜一憂しすぎないこと

 

どちらがボールを握り、主導権を持って戦えるか。そんな争いのゲーム展開は容易に想像できる。

「どれだけ強気に戦えるか」

 喜田はそう試合のポイントを話した。

 

 

技術も戦術もリーグ最高クラスのフロンターレに対し、臆することなく貫く。大切なのは受け身に回らず、積極的に仕掛けていく姿勢だ。

守備では果敢にボールホルダーとの距離を詰め、自由を奪いたい。交わされることを恐れて構えるのではなく、チーム全体の共通見解としてプレスに走らなければならない。交わされた場合、二の矢を繰り出せばいい。

攻撃に関しては、ただボールを持つ展開は避けたい。効果的なゲームコントロールを実現するために、ここでも縦の意識は欠かせない。仲川やエウベルは相手の背後を狙うようなアクションもいいだろう。

90分トータルを考えたプレー選択も大切で、目の前の事象に一喜一憂しすぎないほうがいい。試合終了のホイッスルが鳴った時に上回っていることが大切で、途中経過にとらわれすぎるべきではない。

喜田は至って冷静だ。

「(ボールの)握り合いになると思うけど、時間帯にもよるし、仮に握れなくてもどう振る舞うかはチームとしてやってきたものがある。そこは中で判断してしっかり合わせられればと思う。握ったから勝ちではないし、バランスを取りながら舵を取っていきたい」

 この試合が終わると、リーグ戦はいよいよ10試合を残すのみ。ラスト10を駆け抜けるために、フロンターレに勝利して大きな勢いを得たい。

現在地と力関係を図る意味でも、楽しみすぎる一戦だ。

 

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