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「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

浮き彫りになった足りないもの -藤井雅彦レビュー 名古屋戦

 

出来つつあるもの、足りないもの  【名古屋戦マッチレポート】

名古屋グランパス戦ではジュビロ磐田戦から青山直晃に代わって栗原勇蔵が出場したが、選手に与えられた役割は基本的に変わっていない。そして、いまのチームはそれぞれの補完関係が実にうまく機能している。特に中村俊輔と中町公祐の相性の良さは特筆モノだ。

中村はビルドアップ時にボールを受けに下がるため、どうしても前線の選手が孤立してしまう。これは[4-4-2]でも[4-2-3-1]でも中村が2列目に入ったときは同じ現象が起きる。齋藤学や小野裕二はサイドを意識するあまりマルキーニョスとの距離が遠く、兵藤慎剛も確実性の高い後ろ向きのトラップが多いため、機能性は乏しい。

以前も述べたように、個人的には中村のプレーエリアと意識を高い位置に押し上げるべきだと考えている。彼が低い位置でボールに触れたところで、そのほかの選手のビルドアップ能力が高くなければ結局、ボールは前へ進まないのだ。リズムを作れずテンポも生まれないのであれば、高い位置で10回に1回でいいから決定的な仕事を託したい。

だが中村が引いた場面でも、それを同じ高さでフォロー、もしくは中村よりも前で受けようとアクションを起こすボランチがいれば、問題解決に近づく。それが中町だ。名古屋戦の41分には中村を追い越して右サイドへ出て行き、中村からのボールをダイレクトで中央へ折り返してビッグチャンスを演出している。

もともと中町は相手ゴール前に飛び込んでいくプレーも持ち味としており、ようやくその能力をスムーズに出せるようになってきたのだろう。そこには中町のパーソナリティも大きく影響している。「シュンさん(中村)は周りを見てくれているのですごくやりやすい」と以前から語っており、レギュラーポジションをつかむ以前から波長が合うことを強調していた。その他の選手はといえば、ボールキープで時間をロストしてしまう中村のプレースタイルとタイミングが合わず、メンタル的に任せっきりになることもしばしばあった。その点、中町は自己顕示欲が強く、物怖じすることなく中村と台頭な目線でサッカーができる。こうして中村と中町の同時起用は攻撃面において一定の成果をもたらした。

また、守備面でも中町は輝きを放ち、プレッシングスタイルにフィットすることをこの2試合で証明した。磐田戦では狙いすましたインターセプトから追加点を導き、名古屋戦では相手のワンボランチ(試合途中でダブルボランチとなったが)の田口泰士に対して出足鋭いプレッシャーをかけた。小椋祥平のボール奪取が野性的な才能であるとすれば、中町は戦術眼の高さが光る巧みなテクニックだ。

一方でブロックを形成してのゾーンディフェンスにはやや不向きだ。決められたエリアで、さらに自陣ゴール前で人をマークしなければいけないとき、中町は耐久力に問題を抱える。そういった場面での信頼度が絶大なのは兵藤慎剛であり、最近は熊谷アンドリューも起用の目処が立った。

いずれにしてもここへきて中盤の構成力が高まったことがチームの安定感につながっている。けがをしている小椋を含めて選手が全員揃った場合に樋口靖洋監督が誰、そしてどのコンビを選択するのか興味深い。

しかし残念ながら目処が立っていないのは得点を奪う方法である。マリノスはそこに大きな欠陥を抱えている。マルキーニョスは2試合に1得点できるFWだ。確実に計算できる。しかしながら、裏返せば2試合に1試合は得点がない。そこで誰が点を取るのか。名古屋戦では千両役者の大仕事だけだった。これでは勝ち点3を上乗せしていくのは難しい。

マルキーニョスがサイドに流れてキープする場面、もしくは少し下がってのポストプレーで周囲の押し上げを促す場面は多い。いずれも効果的で、名古屋のファジーな守備陣はそれを抑えられなかった。それなのにマリノスもマルキーニョスのプレーをゴールに結びつけることができない。中村が引いて、マルキーニョスが流れる。ゴール前に入るのが齋藤、兵藤、そして中町の3枚という場面があったが、これはなかなかに厳しい。「ウチの前線はパワーがない」とことあるごとにつぶやくのは栗原勇蔵。上背がなければ横幅もない。したがって迫力不足は否めない。

前節の磐田戦は今シーズントップクラスの出来で、その流れを確実に名古屋戦へとつなげた。しかし、相手は脆弱な磐田ではなく、個々の能力を前面に押し出す強者であった。目に見える成果を挙げられなかったのは相対的な要素が大きく、マリノスそのもののパフォーマンスはまずまず高かった。だからこそ、足りないものが浮き彫りとなった。

 

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