「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

「監督はプレーを認めてくれるし、『グッド』と言ってくれる」(栗原)・「何か考えがあったら聞く耳を持っている」(中澤) [沖縄キャンプ6日目 海邦銀行 / 那覇戦] 藤井雅彦 -1,427文字-

【練習試合リザルト】

日時:1月30日(金)10時30分~
場所:吉の浦公園ごさまる陸上競技場
対戦相手:海邦銀行サッカークラブ、F.C.那覇
形式:45分、30分、30分
結果:5-0(1-0、2-0、2-0)
得点者:1本目45分伊藤、2本目7分佐藤、2本目8分中島、3本目26分天野純、3本目30分天野純

 

4-3-2-1_2015  別項のフォーメーションを見れば一目瞭然だ。エリク・モンバエルツ監督は昨日の練習のチーム分けをそのまま今季初の対外試合で採用。したがって1本目は昨年までの主力メンバー中心で、2本目と3本目がそれ以外の選手を配置した11人となった。なお、別メニュー中の矢島卓郎とラフィーニャは試合には出場せず、左内転筋に痛みを抱える飯倉大樹も出場を回避した。

対戦相手は九州サッカーリーグの2チームで、マリノスとのレベル差を考えると1本目の1-0というスコアは明らかに物足りない。手元の集計ではシュート数は15対2と圧倒しており、決定機もそれなりにあった。しかし、チャンスの場面で伊藤翔のシュートはGK正面を突き、中村俊輔や齋藤学は枠を捉えきれず。伊藤がゴールを決めたのは1本目終了間際の45分で、シュートは15本目だった。途中、モンバエルツ監督が声を出して嘆く場面が数回あったことを記しておく。

4-3-2-1_2015_2互いを知り尽くしているであろう11人が並んだのだから、内容面に大きな進捗がないのは当たり前かもしれない。いわゆる“化学反応”が起きる可能性は限りなくゼロに近い。新監督になって約2週間とはいえ、練習では基本的な指示しか与えられていない。マイボールの時間が長くなるのは当たり前でも、本格的な攻撃のトレーニングは宮崎キャンプ以降である。これまで同様、ボールを持っても崩しきれない場面が目立つ1本目だった。

2本目と3本目に関しては、メンバーに若手が増えたこと、さらに2本目は相手の疲労の色が濃くなるため、自然と躍動感が生まれる。佐藤優平は相変わらずランニングで攻撃を活性化し、ルーキーの中島賢星はチャンスの場面で落ち着いてゴールを決めた。ただし、全体として1本目よりも2、3本目のほうがミスは多い。ピッチの至るところでイージーミスが発生するあたりが経験値の低さであり、技術的に不安定な裏返しだ。

 

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メンバー構成についてモンバエルツ監督は「まだレギュラーを誰に決めるといった段階ではない」と話し、1本目の選手たちがレギュラーに決まったわけでないと強調した。その言葉を額面通りに受け取るならば、まずは昨季の主力メンバーを並べ、力量を計ったということか。

一方で実績ある選手たちに、ある程度の信頼を置いているとも受け取れる。宮崎キャンプでは選手をシャッフルすることが予想され、少しずつ序列が明確になっていくだろう。

次記事に、沖縄キャンプの総括として、参加していない仲川輝人を除く全選手の寸評を記す。

 

 

 

【コメント】
エリク・モンバエルツ 監督

「全体を通して良いキャンプになった。フィジカル面の強化だけではなく、我々が目指す方向性を示すことができて、今日の練習試合では選手がそれを表現してくれた。まだレギュラーを誰に決めるといった段階ではない。去年の経験を持っている選手を最初に出してみただけ。今日のメンバーが今年のレギュラーといった話ではなく、たまたま去年のメンバーが試合に出ていたということ」

DF 22 中澤 佑二

「まだ始まって2週間という段階だし、今日の練習試合では疲れている中で何ができるかがポイントだった。監督は守備の基本的なことを繰り返し言っていて、それはある程度できたと思う。ボールを奪う位置については、一度ブロックを作ってからボールに出ていくやり方になっている。ただ、それは状況にもよるし、もっと細かく詰めていかないといけない。監督はベテラン勢とも個人的に話をするし、何か考えがあったら聞く耳を持っている人だと思う」

DF 4 栗原 勇蔵

「今日の練習試合では試合の序盤に意識して前にロングボールを蹴った。本当はショートパスでボランチに当てるのがいいんだろうけど、サイドハーフの(齋藤)学あたりが裏を狙う動きを増やしてくれたので、そこをシンプルに狙った。少し精度が低かったのでボールがつながらなかった。ただ、そこで通れば相手GKと1対1の場面を作れる。監督はそういうプレーを認めてくれるし、『グッド』と言ってくれる。練習試合は特に制限のようなものはなかったけど、結果としての去年のメンバーで臨んで点を取れていない。決定力が足りないだけではなくて、そこに至るまでの過程も変えていかないといけない」

MF 8 中町 公祐

「練習試合の1本目は、相手は元気でモチベーションが高いのでなかなか点が入らない。今日のスコアに大きな意味はないので気にしなくていい。内容としても細かい変化は相手のレベルが上がってから出てくると思う。相手によっては普通にできてしまう部分もあるから。去年は樋口さんが『ボランチが相手のボランチにプレッシャーをかける』ことを徹底したけど、今年は一度セットしてからボールに行く。でも、どちらしても相手のポイントになるボランチにはプレッシャーを与えないといけない」

 

 

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