2015.02.02

「“雑草”が必要でしょ。ピッチ内にいる全員が上手い選手でもチームは勝てないから」 [比嘉祐介ロングインタビュー（第2回）]　-2,628文字-

2015年02月02日 19時47分　
カテゴリ：インタビュー

【比嘉祐介選手インタビュー（第2回）】

→第一回はコチラ

取材日：1月27日（火）
インタビュアー&写真：藤井雅彦

HIGA

F・マリノスにあの男が返ってきた。

比嘉祐介。

6日間に渡る沖縄キャンプが佳境を迎えた3日目。宿舎の一室でヨコハマ・エクスプレスの独占インタビューに応じてくれた。

第2回となる本稿では、今季にかける熱い思いを語ってくれた。エリク・モンバエルツ新監督の下、左SBのレギュラー争いはゼロからのスタートだ。

「目の前の相手には絶対に抜かれない」

京都への期限付き移籍で、本来のプレーを思い出した。そして、勝負のプロ4年目が幕を開ける。

――あらためて横浜F・マリノスへの復帰を決意した決め手を聞かせてほしい。

「もう一度、J1のF・マリノスでプレーしたかった。大学を卒業して加入したけど、なかなか試合に出られず、プロ3年目にJ2の京都に期限付き移籍した。今年に関してはいろいろ選択肢があったと思うけど、F・マリノス以上のビッグクラブは日本にほとんどない。だから、そこでチャレンジしたかった。代理人も自分と同じ考え方だったので、F・マリノスでプレーすることを決めた」

――監督交代のタイミングだったことも決断を後押ししたのでは？

「それは大きいよね。ゼロからの競争になるわけで、監督が好きなタイプの選手なら試合に出られる可能性は高まる。自分がそうなりたい」

――今年5月で26歳になる。

「もう26歳になる年だね（苦笑）。時間が経つのは本当に早い。オレの中では22歳くらいで時間が止まっている。自分に子どもが生まれたのがそれくらいのときだから。
同い年だと清武（弘嗣）が日本代表でプレーしていて、柿谷（曜一朗）もW杯に出場した。（酒井）宏樹や（酒井）高徳、サコ（大迫勇也）、それから（齋藤）学は1学年下だけど、それぞれの形で先に進んでいる。オレだけ時間が止まっている。何も起きていない気がする。人としてはいろいろな経験をさせてもらっているけど、サッカー選手としてはダメ」

――復帰に際して「選手生命をかけて」という言葉が公式リリースにあった。それくらいの覚悟で臨む？

「このままではサッカー選手として終わってしまう。だから今年はオフもかなり走った。京都でシーズンが終わってから約2ヵ月オフがあったからね。沖縄に帰ってからも弟と一緒に毎日ランニングしていた」

――体は仕上がっている？

「そういうわけではないよ。地元でフットサルをやってから来ても、チームでトレーニングすれば筋肉痛になるわけだから（苦笑）。でもこれまでのオフよりも確実に動いた。キャンプに入ってからも体は軽いし、動けている」

――新監督になって練習の雰囲気は変化した？

「監督が代わったことで緊張感があるし、簡単なボール回しでも一人ひとりの集中力が高いよね。選手はみんな上手くなると思う」

――ウォーミングアップでは相変わらず先陣を切って、ときには笑いを誘っているね。

「去年は静かだったらしいね（笑）。オレとアマくん（天野貴史）が同時にレンタル移籍しちゃったからかな。でも練習を盛り上げようなんて、まったく考えていない。試合に出ている立場なら雰囲気を考えるかもしれないけど、いまは必死だからね。自然と過ごしているだけ」

――列の先頭にいるのは意識している？

「していないよ。たまたま。なんとなく毎回そうなっているだけ。そうすると自分の列の後ろにシュンさん（中村俊輔）がいたりする（笑）」

――練習の強度をどう感じる？

「緊張感があるから、1時間の練習でも疲れたなと感じる。外国人監督だから通訳を挟むことになるけど、それも自分は京都で経験しているしね」

――競争しているという意識は？

「まだ、これからだね。いまは自分の体作りをしながら、けがだけはしないように心がけている。紅白戦や練習試合が入ってきたら自分のプレーを出してアピールしようと思うだろうけど。ただ、監督は攻撃のときに『前にボールをつけろ』と言うので、それは意識している。監督が何を求めているのかを考えながらプレーしていきたい」

――同じポジションのドゥトラが引退して、ライバルには下平匠、奈良輪雄太などがいるが。

「オヤジ（ドゥトラ）ね（笑）。ドゥーさん（ドゥトラ）がいないから、ちょっと違和感があるんだよね。オレがルーキーのときにドゥーさんが戻ってきて、試合に出られなかった（苦笑）。自分の力が足りなかった。ドゥーさんはあの年齢でも走れていたし、すごい選手だった」

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