「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

悲しい90分 [J1節川崎戦レビュー] 藤井雅彦 -1,079文字-

残念な開幕戦になってしまった。

正直言って、川崎フロンターレの良さだけが際立つ、悲しい90分間だった。マリノスには何もなかった。昨季の主力メンバーから中村俊輔を引いた面々は、まったくの無力だった。決して悪いメンツではないのに、あの内容のサッカーではもう弱いチームである。

4-3-2-1_2015 スコアは3対1で、シュート数はフロンターレが16本だったのに対してマリノスは12本。しかし、それ以上にサンドバック状態だった印象が強い。昨季までのストロングポイントである前線からの激しいプレッシャーは完全に消え去り、ただ自陣ゴール近くに下がるチームになってしまった。3失点ですんだのは守備陣の強さとGK榎本哲也の奮闘があったからだ。

フロンターレについて語る気はさらさら起きないが、型にハマったときはかなりの力を発揮するチームである。攻撃陣のタレントはリーグ随一だろう。昨季の対戦では型を出させず、2試合とも完封勝利を手にした。それが昨日の試合ではかなり自由を与えてしまい、完全に蹂躙された。フロンターレの選手とサポーターにとっては、とても楽しい90分間だったであろう。マリノス側にしてみれば、こんなにつまらない時間になるとは思っていなかった。

 

 

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指揮官の用兵については、もはや話にならない。守備的に戦うプランは否定できない。中村とラフィーニャを欠き、アデミウソンは登録が間に合わないのだから、攻撃のタレント不足は明らかだ。まずは失点を最小限に抑えて、少ないチャンスをモノにする作戦は悪くなかった。

川崎3-4-3 しかし、マリノスはカウンターで点を取れるタイプのチームではない。齋藤学の単騎突破には限界があり、そのほかの中盤の面々にはスピードが不足している。だから少しずつ陣取りゲームのように前へ進んでいくポゼッションが必要になるが、この編成ではボールも回らない。小林祐三のゴールは、チームとして相手の裏を狙うという戦術が結実したわけだが、裏返すとマリノスは強引なロングボール以外にチャンスを作れそうな場面はなかった。

状態はかなり深刻だが、次節からはおそらくアデミウソンが起用可能になる。アデミウソンは今日8日に来日し、明日月曜日からチームに合流してトレーニングを行う予定だ。どれほどの実力を持ち、影響力を発揮するかは未知数。とはいえ開幕戦を見るかぎり、いまのところ大物とウワサされる助っ人ストライカーに頼るしか手はなさそうである。

 

 

 

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