「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

ハーフタイム、珍しく監督が怒っていた [ナビスコ2節清水戦レビュー] 藤井雅彦 -1,389文字-

前半は晴天に恵まれた三ツ沢で、まるでお花見でもしているかのようなゲームだった。まったく見どころのない45分間で、サッカーと呼ぶに値しない最低の内容。さまざまな要因が考えられるとはいえ、こういったときこそサポーターはブーイングすべきだと思う。結果としては0-0でリードもビハインドもなかったが、目の前の体たらくは明らか。負けていなくてもブーイングだ。

4-3-2-1_2015

それだけに後半に入っても変わり身は見どころ十分だった。エリク・モンバエルツ監督はハーフタイムに強い口調で叱咤激励したという。栗原勇蔵は「珍しく監督が怒っていた」と元来細い目を丸くしていた。アメとムチを使い分ける指揮官も、この日ばかりは大きな声を出さないわけにいかなかったのだろう。そしてマリノスは見事に蘇った。

個人に目を移すとアデミウソンの目覚めが勝因といっていい。前半はまるで動かなかった。相手選手の激しいチャージで腰を痛めた影響もあるだろうが、それ以上にメンタルが戦っていなかった。彼本来のボールを呼び込む動作は皆無に等しく、ただ前線に残ってボールを待っていた。これではマリノスの攻撃は立ち行かないのだ。誰かがボールを前へ運んでくれなければ攻撃が成立しない。CBもボランチもビルドアップに長けた選手ではないのだから、それはアデミウソンの仕事である。

ボールが高い位置に進めば、マリノスは地力で押し切れる。先制点の場面は下平匠のボール奪取が素晴らしく、パスを受けたアデミウソンも絶妙のタイミングで再び下平を使った。そこからのグラウンダークロスに対して、エリア内には三門雄大、伊藤翔、兵藤慎剛が入り、エリアの外には齋藤学も控えていた。これだけ枚数が揃えば何かが起こるのはサッカーの常で、結果として相手DFがゴールゲッターになった。

 

 

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清水4-2-3-1 後半の内容は悪くなかった。ただし、それは前半と比較したときの話で、内容で清水を圧倒したかといえば、そうではない。地力の差で上回り、セットプレーを生かして追加点を奪った。終わってみれば2-0という完勝スコアだが、大差はない。試合途中に立て直して勝ち点3をもぎ取ったことを喜びつつも、反省しなければいけない点は多い。

また、この試合の後半に小林祐三が右足首を強くひねって途中交代した。ベンチにはSBがおらず、三門が右SBに回り、ボランチに富澤清太郎が入った。チームが徐々に上昇傾向のあるだけに、守備力がウリのレギュラーSBが離脱となれば少なからず痛手となる。オフ明け以降の経過観察次第だが、その場合は試合途中からの布陣が今後のベースになるか。中盤のバランスが変わるのは避けられず、できれば好調の三門をボランチに固定したいところだが…。再び指揮官の手腕が問われる。

この勝利でカップ戦の上位進出に望みをつなぐとともに、公式戦2連勝でほんの少しの勢いを得た。課題と問題こそあるものの、また少しマリノスは前進した。

 

 

 

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