「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

比嘉は比嘉らしく、アグレッシブに走り回ればいい [1st8節広島戦プレビュー] 藤井雅彦 -1,857文字-

右SB小林祐三の出場停止は大きな痛手だ。ここまでリーグ戦全試合に先発しており、エリク・モンバエルツ体制になっても高い守備力は重宝されていた。特にサンフレッチェ広島のように前線に人数を割いてコンビネーションプレーを狙ってくる相手には、守備の戦術眼が欠かせない。マークの受け渡しや、責任を持って最後までマークすること、あえてフリーにしてもいいポジションなど、やるべきことが多い。広島や浦和レッズが相手の場合、特に欠かせない選手が小林のようなタイプだ。

4-3-2-1_2015 とはいえ前節・湘南ベルマーレ戦で通算3枚目の警告を受け、累積による出場停止処分を課せられた。2ステージ制に変更され3枚で累積となるが、今シーズンのマリノスでは最初の出場停止選手だ。これからもさまざまなタイミングで出場停止の選手は出てくるだろうが、あろうことか広島戦で小林がいない。そのため3-0で完勝したチームを11人継続することは不可能で、何かしらの変更を迫られる。

ここまでの起用法を見るかぎり、ボランチの三門雄大を右SBにスライドさせる一手が有力かに思われた。バックアッパーの奈良輪雄太は左ひざ内側側副じん帯損傷で離脱しており、天野貴史は信頼を勝ち取れていない。柏レイソル戦で途中から右SBに入って2アシストした三門の起用はもちろんオプションの一つだろう。だが、モンバエルツ監督はどうやら比嘉祐介を右SBで起用する模様だ。試合前日の紅白戦で比嘉が右SBに入り、三門はボランチのままだった。

 

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そのほかのメンバーは前節から変わらない見込みだ。CBコンビは引き続き中澤佑二とファビオで、栗原勇蔵は27日の練習中に右足首に痛みを訴えて離脱した。今節はベンチにも入らず、控えのCBは富澤清太郎になる。また、22日のナビスコカップ・名古屋戦で左ふくらはぎを打撲した中町公祐はベンチに復帰し、矢島卓郎もベンチ入りする。コンディションが万全ではない中村俊輔やラフィーニャもまだベンチスタートだ。

広島3-4-2-1 広島相手の場合、浦和戦同様にまず守備を構築するか。攻守で変わる相手のシステムに対応しつつ、勝機を見出さなければいけない。押し込まれる場面が多くなれば攻撃に移行できず、かといって無闇に追いかけても相手のボール回しの餌食となる。比嘉を加えた4バックとダブルボランチを中心に、まずは広島の攻撃を封じるところからスタートしたい。

攻撃に関して言えば、水物とはいえ1点か2点は期待できる。アデミウソンと齋藤学は前節の初ゴールで気分よく試合に臨めるだろう。前線の面々は伊藤翔も含めて調子は悪くない。さらにベンチに控えるラフィーニャの存在が大きい。単独でボールを運べて、なおかつフィニッシュ場面に関われる助っ人ストライカーが控えているのは、相手にとっては大きな脅威だろう。展開によっては後半開始から出番があるかもしれない。

比嘉を含めた守備構築と、ラフィーニャを切り札として攻撃。この二つが広島戦のポイントで、中村の起用法や仕事についてはまだ大きなトピックにはならないだろう。おそらくは早くても次節のモンテディオ山形戦から、背番号10をチームに組み込んでいくのではないか。

 

【この試合のキーマン】
DF 15 比嘉 祐介

 まさかの右SBでスタメン濃厚、である。試合前日は少し緊張気味の様子だったが、キックオフを迎えてどうか。堂々としているようで弱気な部分もある人間なので、ちょっぴり心配だが、強心臓ぶりを発揮してもらいたい。
周囲の選手は「比嘉のところをどうするか」と懸案事項に挙げている。相手以上に、味方でさえ比嘉がどんなプレーをするかわからない部分がある。ナビスコカップで先発出場した2試合は失点に絡み、ミスも多かった。それでも先発のチャンスがやってくるのだから、指揮官の評価は低くないのだろう。
細かな技術など求めない。比嘉は比嘉らしく、アグレッシブに走り回ればいい。周囲には比嘉よりも経験ある選手ばかりだ。迷うことなく、右サイドで暴れ回ってほしい。

 

 

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