「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

<無料> 富澤は、3バック変更によって水を得た魚となるか [1st11節新潟戦プレビュー] 藤井雅彦 -1,799文字-

 

明日のアルビレックス新潟戦でも3バックを引き続き採用する。前節は内容と結果がリンクした2-0での勝利だから、継続路線は当然かもしれない。ただし多くの選手や監督自身が話しているように、相手が一人少なく調子の悪いチーム、だったことは差し引いて考えるべきだろう。その名古屋グランパス相手に先制点も取っていたのだから、よほどのことがないかぎり勝ち点3を手にできた可能性が高い。

3-4-3_2015真価が問われるのはこの新潟戦となる。実は対戦相手もマリノスと似たような状況に陥っており、3バック相手に結果が出ずにシステムを3バックに変えたという経緯があるようだ。そのため明日の試合も対3バックの様相を呈しており、これで公式戦7試合連続3バックを採用するチームと対戦することになる。もはや異常にさえ感じるが、マリノスも3バックを採用しているから何も言うまい。サッカーはシステムでやるものではないが、勝つための最善策が3バックなら、それでいい。

新潟戦は特に守備面がどのように機能するかがポイントである。対戦相手についてエリク・モンバエルツ監督は「相手によってやり方を変えている。広島戦では前からプレッシャーをかけていたが、ガンバ戦ではそうではなかった。明日のゲームでも我々に何らかの方法で適応してくるはず。だから様子を見る必要がある」と話した。システム云々ではなく、どのように守るかを変えているのだろう。だとすればマリノス相手には高い位置からプレッシャーをかけてくる可能性が高い。新潟の前からのプレスをかいくぐることができれば、マリノスはチャンスを作れるはずだ。

 

新潟3-5--2逆にプレスの餌食になれば後手を踏み、前線にある個人能力を生かせなくなる。アデミウソンや齋藤学に効果的なボールが入らず、前線で孤立する。ボールを受けようと下がってくれば相手の思うツボだ。前での怖さがなくなり、中盤の狭いエリアでプレッシャーを受ける。レオ・シルバのボール奪取能力やリーグトップクラスだ。新潟の出方と展開次第では試合途中にシステムを変えることも十分考えられる。

メンバーに関しては久しぶりに前節と同じ11人がスタメン表に並ぶ。控えには再離脱した端戸仁に代わって矢島卓郎が復帰するが、伊藤翔は大事をとってメンバーから外れ、来週の清水エスパルス戦に備える。中村俊輔はすでにランニングを開始しているが復帰はまだ先のことで、ラフィーニャは左太もも裏の違和感で別メニュー。もちろん両者とも明日の試合に出場することはない。喜田拓也や兵藤慎剛の途中出場が濃厚である。

明日の試合が今後の基本システムを決める指針になるだろうが、指揮官は今後も3バックと4バックの併用を明言している。選手のキャラクターだけを並べるならば3バックは悪くない一手だが、それならばチームとしての約束事や戦い方をブラッシュアップする必要がある。ただ相手に合わせるだけのシステム変更ばかりでは混乱を招きかねないだけに、結果とともに内容でも進捗を見せたいところ。

 

【この試合のキーマン】
MF 27 富澤 清太郎

3バック変更によって水を得た魚となるか。
今季はボランチのレギュラーでスタートしたが、ファビオや三門、喜田の台頭でポジションを失い、最近はCBの控えに甘んじていた。それが3バック採用にとって再びレギュラーに返り咲いたのだから、モチベーションは高いはず。
名古屋戦では確実性の高い守備を披露し、前方の小林を高い位置に押し上げた。ビルドアップでは自分の形でボールを持ち、安易に下げるのではなく前方向へのプレーを続けた。齋藤や藤本に入れるボールは攻撃のスイッチパスとなる。
今節に関して言うと、スピード満点のラファエル・シルバをいかにして止めるか。スペースを与えすぎると危険な選手で、小林との関係性、あるいは中澤との距離感がポイントになる。攻守両面で鍵を握る選手だ。

 

 

 

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