「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

マリノスタウンから移ることはほぼ決定していた [ナビスコ5節神戸戦レビュー] 藤井雅彦 -1,857文字-

本日、クラブからマリノスタウン移転という発表があった。数年前からの懸案事項であり、マリノスタウンから移ることはほぼ決定していた。問題は移転先だったが、結論としては新横浜公園内施設を利用して練習を行うことになる。つまりは日産フィールド小机や球技場、あるいは日産スタジアムだ。トップチームは今年いっぱいマリノスタウンを使用し、来年1月には“お引っ越し”である。本社機能は新横浜公園近隣施設にオフィスを構える。

この案件について嘉悦朗社長は報道陣の取材に応じ、説明した。

まず設備面について「いまある設備、部屋のスペースなどまったく同じは難しいが、ほぼ維持できることを前提に検討してきた。レストハウスがあり、プールもある」と見通しを語る。マリノスタウンほどゴージャスではなく、あくまで借り物ではあるが、現在のクオリティーを維持するように努めて選定したという。

それから気になるのは日産フィールド小机が遊水地であるということ。これについては「多いときは1年に数回溢れる。浸水する可能性があって、そのときの衛生面を考えると1週間程度使えない可能性がある。その場合は日産スタジアムでの練習や合宿なども視野に入っている」と話した。

台風の時期など不安が尽きないが、ケースバイケースでの対応になるようだ。

そしてクラブの収益の一角を担うアカデミーについて。

 

下バナー

これについては2016年3月まではマリノスタウンを利用し、4月からは新横浜公園内の「しんよこフットボールパーク」及び市内のグラウンドを確保し、使用する。トップチームと本社機能は来年1月から新横浜に移転するため、アカデミーがマリノスタウンを使用する最後のカテゴリーとなる。

嘉悦社長は「バランスのとれた最適な場所を確保した。このクラブが無理なく存続するために前向きに捉えている。経営環境を考えるとベスト」と話し、『持続可能な成長』を最優先する考えを示した。

横浜駅から徒歩圏内でみなとみらいの一等地に居を構えることには有形無形の価値があったはず。その施設が9年でなくなるのは残念でならない。担当記者としても胸を張れる練習グラウンドで、居心地の良さはJリーグ随一であった。

しかしながら今後、マリノスが親会社に頼りすぎることなく自立した経営を目指すのならば必要な決断だったのだろう。だからこそ嘉悦社長は、撤退ではなく移転であることを強調した。その成果と是非については、来年以降に見えてくる。いまはこの決定を見守るしかない。

4-3-2-1_2015Bさて、昨日の試合について。

正直、このメンバーで臨めばこうなるだろう。このメンバーで公式戦を戦ったことはもちろんないし、練習試合すらやっていない。チームとしての機能性などあるはずもない。そもそも何を期待すればいいのか。個々のアピールには期待したが、チームとして見るべき価値はない。

対 戦相手はプロで、同じJ1で、しかもフルメンバーだ。簡単に勝たせてくれるはずもなく、レベルの落ちるアマチュア相手ではない。渡邉千真に2ゴール許した のはとても残念だが、彼の持っているクオリティーを考えれば不思議ではない。結果として3失点したのは、ヴィッセル神戸のAチームとマリノスのBチームの 差である。

神戸3-5-2個人レベルで際立ったパフォーマンスを見せた選手はいなかったが、しいて挙げるならば右内転筋痛から復帰したこのゲームで痛快な ゴールを決めた伊藤翔だろう。トラップからシュートという一連の流れはパーフェクトで、まさしくワールドクラスの一撃だった。彼自身は週末のリーグ戦に向 けて最高の状態で臨める。

しかしチームとしてはこの敗戦でナビスコカップ予選リーグ突破が極めて難しくなった。そもそも本気モードではない 大会なのでショックも小さくなっているが、やはり残念な印象は拭えない。残り2試合もおそらく控えメンバー中心で臨み、出場機会の少ない選手のアピールの 場となるだろう。長い目で見れば悪いことではないが、“いま”を追いかけている担当記者と、勝利を期待するサポーターにとっては少し物足りない話だ。

 

 

 

 

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ