「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

カウンターを食らうリスクを恐れない。その勇気が、スコアボードを動かす [2nd7節甲府戦プレビュー] 藤井雅彦 -1,532文字-

 

思い返せば、アウェイのヴァンフォーレ甲府戦もラフィーニャとアデミウソンを前線に並べ、その横には齋藤学がいた。配置こそ異なるものの今回と酷似したメンバー構成である。当時は[5-4-1]でブロックを作る相手に対して、前線の選手が焦れてしまった。外国籍選手たちは集中力を切らし、プレーを途中でやめてしまった感すらある。それでは甲府を攻略することなどできない。

4-3-2-1_2015トップ下に入るであろう三門雄大は言う。

「止まってプレーしないことが重要。相手の裏への動きを続けたい。自分が走ることで周りの選手にスペースができればいいし、こちらが止まってしまうと相手も崩れない。どうやってスペースを作り出すかが問題で、それができれば楽しい試合になる」

 前線の選手がどれだけ相手をかき回し、守備ブロックを混乱させられるか。自身が攻略できなくても、周囲の選手に追い風になれば意味はある。そういった犠牲心が重要になるだろう。

また、ボランチに入る中町公祐は甲府攻略についてこう語る。

 

 

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「どれだけ前にボールをつけて、そこに人数をかけられるか。自分と喜田でボランチを組むなら、自分がどれだけ前に絡めるか。リスクはあるけど、自分たちから仕掛けていくことが甲府の攻略する糸口になると思う。局面での個の能力なら自分たちのほうが上だと信じてプレーする」

 三門と中町に共通するのは、どれだけ『自分』からアクションを起こせるかどうかである。たしかに甲府の守備ブロックは強固で、これまでも苦戦してきた。だから同じように臨めば、おそらく同じように終わってしまうだろう。これまではマイボールを失うことを恐れ、ボールを持っている時間こそ長いが、相手にプレッシャーを与える時間と回数は少なかった。

甲府3-4-2-1今回は違う。マリノスは勇猛果敢に攻めるだろう。甲府がどれだけ強固なブロックを作ったとしても、それを能動的に崩すために前へ出る。前線の選手は焦れて下がるのではなく、あくまで高い位置で相手にとって脅威になるだろう。後方の選手も果敢に前へ出て、カウンターを食らうリスクを恐れない。その勇気が、スコアボードを動かす。

マイボールの時間が長くなるのは想定できることで、そのときに中村俊輔を起用する術はたしかにある。ただし、前節は名古屋グランパスに3-0で快勝を収めた。その流れを継続する意味で、スタメンの11人は前節と変わらない。彼らは甲府に勝つためにアクションを起こさなければいけない。

その勇気とアクションが、今後のマリノスのベースになっていく。

 

【この試合のキーマン】
MF 8 中町 公祐

 前節は喜田拓也とボランチを組んでゲームをコントロールした。中村俊輔がベンチにいるのだから、この男がチームを操縦しなければいけないだろう。名実ともにチームの舵取り役を務める日がやってきた。
中町自身が言っているように、どれだけ前線に絡めるかだ。ラフィーニャ、アデミウソン、そして齋藤学という前線の個は強力だが、待ち構えている相手を崩すのは容易ではない。3列目からどれだけ攻撃に加担できるか。アグレッシブに攻め上がる姿に期待したい。
また、セットプレーでもエリク・モンバエルツ監督は中町のヘディングの強さに期待している。中村という優秀なキッカーこそいないが、ニアサイドでポイントゲッターになりたい。三門雄大や下平匠のキック次第ではチャンスを作れるだろう。

 

 

 

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