【サッカー人気3位】【J2箱推し宣言!】元代表の高度な対決…

「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

まさかの大一番に向けて [藤井雅彦] 鳥栖戦試合直前プレビュー

可能性を残す最終節・鳥栖戦

今シーズンもACL出場権獲得は「ない」と思った。

最初にそう感じたのは真夏の8月に行われた川崎フロンターレ戦があまりにも不甲斐ないゲームだったから。序盤にマルキーニョスが2得点を挙げ、最高の内容と展開で前半を折り返しながら、あろうことか後半だけで田中裕介に2得点を許し、ドローに持ち込まれた。リーグ戦15試合負けなしと不敗記録をつないだことに意味はなく、大切な勝ち点を落としただけだった。案の定、次節のセレッソ大阪戦から3連敗を喫した。

だが、3連敗後の鹿島アントラーズ戦をきっかけに息を吹き返した。「もう失うものは何もないから」と笑い飛ばしたGK榎本哲也が2年10ヵ月ぶりに先発を奪取したこともきっかけの一つかもしれない。相変わらず勝ちきれない悪癖こそあったものの、鹿島戦からの6試合を3勝3分で乗り切る。すると他チームの不調も手伝い、再び3位の席が見えてきた。にもかかわらず、勝負どころの第32節で柏レイソルに完敗した。これが二度目に諦めた日である。収穫を目の前にして、当面のライバルに負ける。「ACLを狙うのにふさわしいチームではなかった」(中澤佑二)。

それなのに最終節を控えて、なぜかマリノスは三度目のチャンスを得ている。そもそもサンフレッチェ広島が優勝を決めた前節は、マリノスにとっては奇跡の連続と言えよう。まず浦和レッズが鳥栖に敗れ、名古屋グランパスは鹿島に土をつけられる。清水エスパルスも川崎フロンターレに屈した。3位を争いチームで勝ったのは鳥栖を除くと柏のみ。マリノスというと、コンサドーレ札幌からしっかり勝ち点3をもぎ取った。すると、気がつけばラストチャンスを得ているではないか。

もちろん簡単な条件ではない。

①マリノスが鳥栖に勝利する。
②浦和と名古屋が引き分ける。
③柏が引き分け以下。

という3つの条件がすべて満たされたとき、マリノスは勝ち点53で並ぶ4チームもしくは5チームの中で、“得失点差”というストロングポイントを生かして3位に立っている。狭き門であることは間違いないが、おそらくは前節の他チームの結果を導くほうが難しい。そんなふうに考えると決して無謀な望みでもないだろう。

可能性は決して高くないが、何かを勝ち取る瞬間に立ち会えるかもしれない。そんな高揚感とともに、是非ともたくさんの人が日産スタジアムに足を運んでほしい。

 

「おみそれいたしました」と言いたい

そんな大切な一戦でマルキーニョスを欠くのは正直、痛すぎる。というのも前節の札幌戦で左もも前に違和感を訴え、ハーフタイムに交代。今週は終始、別メニュー調整で過ごしたため、最終節は出場できない。思い返せば、序盤戦あれだけ苦労したのは計算できる助っ人FWが負傷離脱していたためで、それさえなければと思わずにはいられないシーズンなのだ。マルキーニョスが出場しなかった試合の戦績が2勝6分3敗なのに対して、出場した場合は10勝8分4敗と安定感が増すことからも、存在の大きさがうかがい知れる。

そんなピンチをチャンスと捉えている人物がいるとすれば、それは小野裕二だろう。札幌戦の後半はマルキーニョスに代わって1トップの位置に入り、齋藤学や兵藤慎剛との連係からチャンスを作り出した。適性とは異なるサイドでのプレーを続けることでボールを持ちすぎるきらいこそあるものの、一時期の不調は脱した感がある。札幌と鳥栖ではチーム全体の守備意識や粘り強さ、何よりもモチベーションに大きな違いがあるだろうが、最後に背番号10に魅せてもらいたい。

鳥栖にしてみれば、勝てば自力で3位を確定できるという状況が試合にどう影響するか。勝つことでしか道が開かれないマリノスと違い、他会場の結果では引き分けや、もしかしたら負けでも3位になる可能性がある。「追われる身と追う身で、相手が硬くなったらチャンスが増える」と樋口靖洋監督。J1初年度ながら3位を狙う鳥栖はかつて経験したことのないプレッシャーと戦うことになるだろう。成功体験の少ない選手が多いマリノスとはいえ、経験値という点では鳥栖のそれをはるかに上回るはずだ。

鳥栖の走力や最後まであきらめない姿勢はリスペクトに値する。ビッグクラブが失いかけている“ひたむきさ”を感じさせるチームで、そんなチームが躍進しているのはサッカーが純粋なスポーツである動かぬ証拠といえるだろう。ただし彼らをこのまま簡単に3位にしてしまっていいのか。答えはおそらく、否。結果として浦和や名古屋、柏に切符が渡る可能性も十分あるのだが、まずはマリノスが勝って鳥栖よりも上にいくことが先決だ。

最後の最後に訪れた、最後の分岐点。逆転で目標を達成し、「おみそれいたしました」と言いたいものである。

 

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