「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

「簡単にポジションを渡すつもりはない」 【「未来」 喜田拓也21歳 -独占インタビュー vol.3】

ロングインタビュー

 

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独占インタビュー最終回では、今季の反省や課題をいかにして来年につなげるかをテーマとした。試合に出場し続ける中で感じた責任と中澤佑二の偉大さとは。

そして守備的な役割が多い中でも『初ゴール』への欲を垣間見せる。エリク・モンバエルツ監督の指導の下で飛躍的な成長を遂げている生え抜きボランチが決意を語った。

実施日:11月27日(金)
インタビュアー:藤井 雅彦
カメラマン:星 智徳

 

 

――今年はコンスタントに試合出場した一方で負傷に悩まされたシーズンでもあった。振り返っての自己評価は?

「けがが多くて、まだまだ甘いと教えられている気がしました。開幕前に半月板を負傷して、2ndステージの開幕戦でひざを痛めた。そのあと練習中に脳震とうになるアクシデントがあって、最後は足首を負傷した。あと胃腸炎のような症状で体調不良で欠場した試合もありました。体調管理はしっかりしていたつもりだけど、実際にはできていなかったということ。原因があると思うので、もう一度見つめ直して、来年に生かさないといけない。けがをしないことも良い選手の条件のひとつなので」

02――中澤佑二は37歳で2年連続のフルタイム出場を達成している。

「本当にすごい。それに出場するだけでなく高いパフォーマンスでチームを支えている。チームの失点数はリーグ上位の少なさだし、さらに警告もゼロ。ちょっと恐ろしいですね(笑)。CBというポジションで警告ゼロというのは、クリーンに守ることはもちろん、ほかにもいろいろな要素がなければできない。そういった偉大な選手が身近にいるのは、本当に勉強になります。試合に出るようになったからこそ、すごさが分かった気がします」

――中澤選手は周りの選手とまったく違う練習や過ごし方をしている?

「私生活までは見えないけど、練習グラウンドとクラブハウスの中を見ている限りでは、それほど大きく違うことはしていないと思います。それよりも当たり前のことを当たり前にこなして、信念を持って続けている。細かなところまでこだわってやり続けている。それが佑二さんのスタンダードになっているのかなと。自分に合ったルーティンができていて、それを日々繰り返している印象があります」

――喜田選手はまだ習慣化されていない?

「時間をかけてできていくのかなと思います。選手それぞれに合ったスタイルがあると思うので、自分はそれを探している段階です。いろいろなことを試しながら自分に合ったスタイルやスタンスを見つけたい。それが自信につながると思います」

――試合に出ることで私生活も変化した?

「変わった部分もあります。試合に向けて過ごす、というところで意識が変わりました。自分がレギュラーに定着したと思ったことは一度もありません。でも試合に出ているという自覚は持たなければいけないし、出るために準備をしています。試合のあとはリカバリーでどうやって疲労を回復させて、次の試合に向けて準備していくか。それを考えながら日々過ごしていました」

 

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――この1年は喜田拓也にとって、どんな意味を持つシーズンだった?

「いろいろな感情がありました。勝つ喜びがあったし、勝つ難しさ、負ける悔しさも知りました。成長した手ごたえもあるし、逆に自分の力のなさや課題も感じた。試合に出続ける責任もありました。自分を取り巻く環境も多少なりとも変わった。ただ、満足のシーズンではなかったです」

――この経験を来年にどうつなげていくか、

「来年は自分にとって、より重要なシーズンになります。今年は初めて年間を通して試合に出られて、来年はもっと高いレベルを要求される。その中でチームのためにどんなプレーができるのか。やるべきことが大きく変わるわけではないけど、整理しながら進化しなければいけない。今年試合に出られたから来年出られる保証はありません。競争は絶対にあるので、まずはそこを勝ち抜かなければいけない。簡単にポジションを渡すつもりはないし、自分の立ち位置を確立したい。そのために日々の生活やプレーの姿勢、そういった面から認めてもらわないと。仲間の信頼あってこその競技でもあるので、チームメイトとの信頼関係を大事にしたい」

 

 

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