「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

明日、開幕戦があるとしたら、指揮官はほぼ間違いなくこの日最初にピッチに立った面々を送り出すだろう (練習試合 福岡戦)[宮崎キャンプ]

 

 

練習試合:アビスパ福岡(J1)戦

日時:2月7日(日)11時~
場所:シーガイアスクエア1
形式:45分-45分-30分
スコア:0-0(0-0、0-0、0-0)
得点者:なし

 

宮崎キャンプ4日目の7日、アビスパ福岡と練習試合を行った。45分、45分、30分の変則的な形式で計120分戦い、マリノスはほとんどのフィールドプレーヤーが60分プレーした。2本目の途中で総入れ替えを行ったということだ。負傷などのアクシデントなく対外試合を終えられたという点は良かったといえるだろう。

 ちなみにこの試合を欠場したフィールドプレーヤーは長期離脱中のラフィーニャと中島賢星、それから復帰途上段階にある仲川輝人の3選手。GKに関しては、宮崎キャンプがスタートしてからほぼ別メニューで過ごしている榎本哲也と飯倉大樹がピッチに立たず、高橋拓也と田口潤人の2選手にチャンスが到来した形となった。

沖縄キャンプでも述べたように、この時期の練習試合の勝敗に大きな意味はない。現時点でのフィジカルコンディションを確認しつつ、チーム作りの進捗を知ることに重きが置かれる。したがってJ1に昇格したばかりの福岡と引き分けたことを悲観する必要は一切ない。結果だけを見て開幕に向けてネガティブになるのはナンセンスだ。

 しかし、である。点を取るスポーツである以上、無得点はいただけない。しかもチャンスらしいチャンスが少ないのはおおいに気になるところ。喜田拓也の決定的シュートや遠藤渓太のバー直撃ヘッドといったシーンはあったが、全体的には決定機の数が少ない。絶対的ストライカー不在のチームなのだから、決定機の数を増やすことでしか得点力不足解消の方策はない。その意味では褒めることのできない内容だった。

それでも収穫がなかったわけではない。最初にピッチに立った昨季のレギュラー組に天野純を入れた面々は、さすがのクオリティを披露してくれた。このフィールドプレーヤー10人は昨季後半のレギュラーからアデミウソンを抜いた面々である。相互理解と共通理解ができており、選手同士の距離感にもズレがない。これは攻守両面に当てはまる話だが、特にボールを失った直後の守備への切り替えがとてもスムーズだ。すぐさまボールホルダーにプレスをかけられるため、相手は素早い攻撃を繰り出せない。「昨年出ていた選手にはアドバンテージがある」。エリク・モンバエルツ監督は試合後も同じ言葉を用いた。

 

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 対して、サブ組はそう簡単に事が運ばない。ディフェンスリーダーを務めた栗原勇蔵は「選手間もチームのやり方にも慣れていないメンバーばかりなので、チームとしてなかなか機能しなかった」と振り返る。どの位置から相手ボールにプレッシャーをかけるのか、逆サイドにボールがあるときにどこまで絞るのか、最終ラインのプッシュアップのタイミングなどなど。その都度言わなければ分からないことが多く、考える必要なく自然と動けるレギュラー組との差は歴然としていた。

そういった状況のチームなのだから、個々でアピールするのは難しい。最終ラインは栗原だけが実績ある選手で、中堅の金井貢史も現体制のスタイルには初めて触れる。前線に関しては1トップと2列目の4選手とも新加入選手なのだから、良好なコンビネーションを奏でろというのは無理難題だろう。たとえば前田直輝はオンザボールで良さを発揮したが、ボールがない場面での動きに戸惑い、消えている時間帯が長かった。

2つのチームはここからいかに融合していくのか。さらに踏み込んで言うと、サブ組からレギュラー組に昇格する選手は何人いるのか。明日、開幕戦があるとしたら、指揮官はほぼ間違いなくこの日最初にピッチに立った面々を送り出すだろう。それほどまでに完成度の差は大きく、レギュラー組の安定感はなかなかに高い。

唯一にして最大の不安材料は、アデミウソンの穴が依然として埋まらず、穴埋めできそうな要素がまったく見えない点である。このままでは優勝争いに絡むのは難しいだろう。

 

 

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