2016.02.10

新背番号25、前田直輝が鋭い眼光の先に見据えるものとは [前田直輝選手インタビューvol.1]

2016年02月10日 11時36分　
カテゴリ：インタビュー
タグ : 前田直輝

実施日：2月7日
場所：シェラトン・グランデ・オーシャンリゾート
聞き手：藤井雅彦

今季、東京ヴェルディから完全移籍で加入したMF前田直輝に、いまの心境を聞いた。すると開口一番、「まだチームに入り込めていない」と率直な気持ちを吐露。五輪最終予選メンバーからの落選という出来事を経て、F・マリノスの一員として新シーズンのスタートを切った。新背番号25が鋭い眼光の先に見据えるものとは――。

――チームの始動から約1ヵ月が経過しました。現在は沖縄キャンプを経て宮崎での二次キャンプを行っている最中ですが、徐々にチームに溶け込めてきたという手ごたえはありますか？

「まだまだ自分がチームの中に入り込めていない、溶け込めていない。それは否めないと思います。でもモンバエルツ監督の下で1年間積み上げてきた連係と、自分のような新参者を比較して差があるのは当然のこと。すぐにすべてが上手くいくとは思っていなかったので、あまり気にしていません」

――昨年所属していた松本山雅とF・マリノスではスタイルが大きく違うと思います。

「そうですね。だから選手に求められるものがまったく違ってくる。松本では『直輝とオビナ、頼むぜ』というスタイルで、実際にそういった場面が多かったです。
でもF・マリノスはチームとしてボールを保持する時間が長いですし、その中で正確かつ素早い状況判断が求められる。そこが上手くできないとチームに溶け込むことができない。チームから求められているものも表現しつつ、自分の良さを出さないといけない。いまが一番難しい時期だと思うけど、ここを乗り越えることができたら面白いサッカーのなかに溶け込めると信じています」

――自分の武器がこのチームの中で生きるというイメージはしっかり沸いていますか？

「湧いています。能力の高い選手がこれだけいるので、正直いろいろなことを考えるけど、レベルの高い選手とプレーするのは単純に楽しい。F・マリノスに来て良かったと感じています。
あとは自分次第。移籍を決めるタイミングの自分はノリにノッていました（笑）。松本で試合に出続けて、五輪代表にも常に選ばれていたし、F・マリノスというビッグクラブの一員になってプレーしてみたいという気持ちが強く湧いた。でも五輪最終予選のメンバーから外れて、去年のイメージのままノリノリでプレーできているかといえば嘘になる。メンバーに入れなかった悔しさを隠しきれていないし、ガツガツやれていない気がする。それだけが理由ではないですけど、やはり心のどこかにありますよね。もし自分が最終予選のメンバーに入っていて、例えば五輪代表チームとして同じような結果を残して、それからチームに合流したら『もっとオレにボールを出せ』という強気なメンタルでプレーできていたと思いますから」

――いまは強気な自分と弱気な自分が同居している状態？

「僕自身、プロになって一番意識しているのは『ちょうどいい自信とちょうどいい謙虚さ』なんです。自信だけが先行してもダメだし、謙虚さばかりが強くなっても個人としての良さが出ない。でも、いまはバランス的に謙虚さのほうが強くなってしまって、ちょうどいいバランスでプレーできていない。自信が下のほうになって、良さを出せていない。これがいいバランスでマッチすれば、シュンさん（中村俊輔）のパスに反応できると思うし、チームのスタイルに溶け込むイメージはできているんですけどね」

――最終予選のメンバーに選ばれなかったショックを少なからず引きずっている？

「うーん…。12月上旬にカタール遠征に行って、そのあと石垣島での合宿がありました。当然、最終予選メンバー入りのチャンスがある位置にいたと思います。結果的にはそこでのアピールが足りなかったという話でしかないけど、12月30日までどうなるか分からない状況で、最後の最後の選考段階で漏れてしまった。もしかしたら同じようにメンバー入りできなかったキー坊（喜田拓也）の場合は、けがの影響もあってカタール遠征に行けなかったので、早い段階である程度気持ちを切り替えられたのかもしれない。ただ、自分の場合はボーダーラインにいる状況で長い時間を過ごして、最後の最後で落選という結果だった。当然、心から仲間を応援していたし、表面上もそう振る舞っていましたが、心の中ではすごく沈んでいたのも事実です」

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