「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

中町 「若手を引っ張っていかなければいけない年齢だから。絶対にいいサッカーができる」 [宮崎キャンプ・レノファ山口戦プレビュー]

 

キャンプのラスト2日は練習試合が予定されている。まず明日11日は今シーズンからJ2に昇格したレノファ山口と、そしてキャンプ最終日の12日は昨シーズンのJ1王者・サンフレッチェ広島との対戦が控えている。

本稿は山口との一戦のプレビューとして取り扱いたい。エリク・モンバエルツ監督は山口戦と広島戦で基本的に異なるメンバーを試合に送り込む考えだ。この2試合の狙いについて「二つのグループに分けて、フィジカル面でプレー時間を確保する」と明かす。これまでもそうだったように、多くの選手に均等にプレータイムを与え、まずはフィジカルコンディションを整える狙いがある。選手によっては2試合合計で90分プレーする選手が出てくるかもしれないが、ひとまずは多くの選手が明日の山口戦で今年初めて90分間プレーする。

 その山口戦に臨む面々は、いわゆる現時点での控え組となる。先日のアビスパ福岡戦でいうと、2本目の途中から試合に出場した面々である。唯一、気がかりなのは今日の練習で左ふくらはぎ付近に痛みを訴えた栗原勇蔵の出場可否。大けがではなく大事をとって練習を途中で切り上げたが、筋肉系の負傷の恐れがあるだけに無理は禁物だ。状況によっては明日の山口戦を回避するかもしれない。

栗原は沖縄キャンプ以降、好調をキープしていた。その動きを見たモンバエルツ監督は目を細め、「勇蔵が好調なのは好材料」と喜んでいた。明日明後日の練習試合の起用法についても「本来なら明日45分、明後日45分プレーする予定だった。彼はレギュラーチームに入って共通理解を深めてほしい」とレギュラー組に入れる方針を明言した。あとは本人のコンディション次第ではあるが、状況によっては山口戦をパスして広島戦だけ出場する可能性もありそうだ。

 

 

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この不確定事項によって、選手の配置に若干の変更がある。しかし、それは対象の選手には結果的に朗報となるだろう。栗原が抜けたと仮定した場合、CBを務めるのはパク・ジョンスと新井一耀だ。新井は沖縄キャンプ以降、主に右SBで起用され、本来のポジションではない場所に戸惑いを隠しきれなかった。福岡戦の終盤はCBとして安定したプレーを見せており、先輩CBの欠場でチャンスが回ってくるとすれば、それは大チャンスと捉えるべきだ。

朗報が届いた選手がもう一人。新井が右SBからCBに移ったことで、左SBの金井貢史が右にスライドする可能性が出てきた。金井は両サイドをこなせるユーティリティーだが、本職は右SBの選手だ。左サイドではぎこちなさが先行し、思い切りの良さが出せていない現状がある。右SBで先発する可能性が出てきたことについて金井は「明日は(ゴールを)決める」と力強く宣言。彼らしいエネルギッシュなプレーに期待したい。

チームとしては、ゲーム体力を養うとともに福岡戦からの上積みをどれだけ見せられるか。その点でダブルボランチを組む中町公祐と兵藤慎剛は、若い選手たちをリードするような立ち居振る舞いを求められる。スタンドプレーはもってのほかで、チームを鼓舞し、好転させるようなプレーをしなければいけない。そのことを自覚している中町は「若手を引っ張っていかなければいけない年齢だから。絶対にいいサッカーができる」と言い切った。

前述したように、現時点では控え組の域を脱しない面々かもしれない。しかし彼らがチームの底上げを実現しなければ、シーズン中に起きるアクシデントに対応できない。個人としてもチームとしても意義ある90分にできるか。

 

 

 

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