「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

開幕戦、トップ下に入るのは天野純 [1st1節仙台戦プレビュー]

 

いよいよ2016シーズンが開幕する。チームは1月11日に始動し、沖縄での一次キャンプと宮崎二次キャンプを経て、チーム作りを進めてきた。その間の最大のトピックは、沖縄キャンプ中の練習試合でラフィーニャが右ひざ前十字じん帯損傷の大けがを負ったことか。今季は体重が絞れた状態でチームに合流し、順調にフルメニューを消化していただけに、青天の霹靂となってしまった。全治6~8ヵ月という診断結果と過去に同じ負傷をした選手の経緯を見ると、今季中の復帰は難しいかもしれない。とにかくいまは早期復帰を心から願うのみである。

エースストライカーの離脱は痛手だが、それでもチームは前に進まなければいけない。しかし、昨年に続いて今年も開幕戦のピッチに背番号10は不在だ。開幕一週間前にインフルエンザを発症した中村俊輔は、試合前日の段階で全体練習に合流できなかった。高熱に苦しめられていた経過と完全休養していた日数を考えると、いきなりの試合出場は難しい。筋肉量が落ちていることも予想され、無理をすれば負傷のリスクも付きまとう。そうなれば今度は長期離脱になってしまい、それこそチームにとってマイナスだ。

中村不在がチームに及ぼす影響は間違いなく大きい。エリク・モンバエルツ監督は「去年、彼抜きでもチームは戦っている。(中村)俊輔に限らず、誰かが抜けることは起こりうること。だからチームはグループで戦わなければいけない。11人だけで年間を戦うわけではない」と前向きに話すが、選手が変わればチームの性質が変わるのも当然である。特に中村のようにチーム戦術の核となるタイプがいきなり抜けるのだから、チームはマイナーチェンジ以上に変化するかもしれない。

代わりにトップ下に入るのは天野純だろう。中村が順調だとしても右MFで先発した公算が高く、指揮官からの評価は高い。相手の間でボールを受けるセンスが高く、そこで前を向くプレーもスムーズだ。相手を一枚はがすことができれば、戦況を大きく変えられる。中村がゲームメイクに注力するのに対して、天野は高い位置でフィニッシュに関わるだろう。単純に攻撃の枚数は増えることが予想され、1トップの伊藤翔が孤立する場面は減るのではないか。そこに齋藤学や開幕直前に右MF起用された兵藤慎剛が絡むコンビネーションで打開したい。

 

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アデミウソンが抜けた穴は埋まっておらず、ラフィーニャと中村もいない。飛車角が落ちた状態で戦わなければいけない。そのため世間的な前評判はあまり高くない。筆者自身も、いまの戦力で優勝争いに絡むのは難しいという予想を立てている。しかし、この時期の予想ほどアテにならないものはない。優勝争いした2013年の開幕前もとても不安だったのを覚えている。蓋を開けてみれば見事に開幕ダッシュを決め、優勝まであと一歩まで迫った。その再現を期待したい。

始動直後からチームを引っ張る覚悟をのぞかせている齋藤は力強く言う。

「マリノスはシュンさん(中村)に頼ってサッカーをしているわけではない。そういう意味でも大事な開幕戦になる。前評判は低いけど、オレは絶対に大丈夫だと思っている。そしてマリノスでタイトルを獲りたい」

その言葉を素直に信じたい。

 

 

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