「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

二つの朗報を追い風にアウェイの地で今季初勝利を [1st2節福岡戦プレビュー]

 

 

今週、マリノスに二つの吉報が舞い込んだ。

まず一つ目は大黒柱の中村俊輔が復帰したこと。ベガルタ仙台戦はインフルエンザで欠場したが月曜日の練習から全体練習に合流した。その後も日を追うごとに練習メニューを増やしていく。木曜日の時点でフルメニューをこなし、すべての練習で主力組のトップ下に入った。エリク・モンバエルツ監督は明言こそしなかったものの、アビスパ福岡戦の先発出場は確定的だ。

 本人曰く「自分のコンディションは100%の状態ではない」が、開幕戦を黒星でスタートしただけに背番号10の帰還はポジティブな材料といえる。試合前日にはいつも通り居残りでシュート練習を行い、直接FKに磨きをかけ、最後はPK練習で締めた。恒例のルーティーンを消化し、笑顔でアウェイ遠征に向かう。マリノスにとっての日常が帰ってきた。

中村がピッチにいることで、チームはボール回しの場面で落ち着きを取り戻すはず。あまりにも下がり過ぎる展開は好ましくないが、ボールロストばかりではリズムが生まれない。まずはボールをしっかりつなぎ、自分たちの時間帯とテンポを作り出したい。そして、課題であるフィニッシュサードにいかにして持ち込むか。中村は「勝負どころをかぎ分けてプレーすれば1試合の中で何度かチャンスがある」と目を光らせた。ゲームメイクはもちろんのこと、フィニッシュの場面に何度顔を出せるか。

二つ目のグッドニュースは、齋藤学の日本代表候補選出である。マリノスにとっては本当に久しぶりの日の丸戦士であり(候補とはいえ)、齋藤自身も「素直に喜びたい」と笑顔を見せた。ブラジルW杯以降、なかなかお呼びがかからなかったが、昨季の齋藤はチャンスメーカーとしての新境地を開拓。後半戦はゴール前の仕事に注力し、その結果シーズン全体でキャリアハイとなる7ゴールを記録した。同じポジションや似た役割を任される選手は日本国内に多いが、齋藤には日の丸を背負う資格が十分にある。あとは、いかに飛び抜けるかが課題だ。

 

 

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 一方で気がかりなのが、木曜日に右足首を負傷した喜田拓也の状態である。金曜日は途中から別メニューとなり、ゲーム形式の練習を回避した。指揮官は「遠征には行く」とメンバー入りを明言したものの、試合出場の可否については直前までわからない。仮に欠場する場合は今週に入って常に主力組の中町公祐の横に、スタメン落ちの可能性があった三門雄大が入るだろう。また、右MFには前田直輝が起用される見込みで「早くマリノスのユニフォームを着てピッチに立ちたい」という意気込みを試合で体現したい。

まだ開幕して2試合目だが、ホームで仙台に敗れ、アウェイとはいえ昇格組のアビスパ福岡に足元をすくわれるようなことがあれば、前半戦でのタイトル争いはかなり厳しくなる。「連敗だけは避けなければいけない」(飯倉大樹)。大量得点が期待できないいま、生命線の守備により比重を置いてもいい。そこから中村のセットプレーや齋藤の打開力を生かすのが得策だ。

二つの朗報を追い風にして、アウェイの地で今季初勝利を飾りたい。

 

 

 

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