「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

11人総替え。若々しく、エネルギッシュなプレーに期待 [ナビスコ第1節川崎戦プレビュー]

リーグ戦2連勝の勢いを持って臨むヤマザキナビスコカップ初戦だ。同じグループ内の他チームは27日に第2節が予定されているが、マリノスはその日が非番となる。そのため連戦という概念ではなく、この試合だけに注力できる。19日のサガン鳥栖戦から中3日のスケジュールではあるが、その次のリーグ戦は4月2日(ガンバ大阪戦)と間隔がある。そのためリーグ戦同様のメンバーで臨むことも十分考えられた。

 しかしエリク・モンバエルツ監督はメンバーチェンジの一手に出るようだ。それも11人総替えである。GKは榎本哲也となり、CBは栗原勇蔵とパク・ジョンスのコンビ。右SBにはキャンプ中からコンバートされている新井一耀を起用し、金井貢史が左SBを務める。ダブルボランチは経験豊富な兵藤慎剛と三門雄大がペアを組み、左右MFにはいずれも試合出場に飢えている天野純(右MF)と前田直輝(左MF)。トップ下として和田昌士がプロデビューを迎え、1トップには伊藤翔が入る。

モンバエルツ監督は「チームには若手が多く、彼らは試合経験が必要。信頼して試合時間を与えることが大事。富樫や遠藤も同じ道をたどってきた」と狙いを話 す。公式戦でしか得られない経験を積めるのは和田や新井、あるいはパクにとってとても幸運なこと。ここで好パフォーマンスを見せれば、リーグ戦出場への足 掛かりになるかもしれない。フランス人指揮官の頭の中で、ピッチに立った選手の年齢は関係ない。何歳だとしても、クオリティを見せることのみがフォーカス される。

 

 

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ただしコメントにあった「富樫や遠藤も同じ道」という解釈は、いささか無理がある。彼らが初出場した場面(アルビレックス新潟戦)は、ほかの9人がリーグ戦で継続的に出場しているメンバーだった。中澤佑二や中村俊輔といった歴戦の雄が含まれ、小林祐三や中町公祐が彼らを声で盛り立てた。実力ある先輩選手に引っ張られるように、ルーキー二人は思い切りよくプレーし、だからこそ結果も出た。

 もちろん、明日の試合では同じ役割を栗原勇蔵や兵藤慎剛、三門雄大に期待したい。「兵藤や三門、(栗原)勇蔵や伊藤はレギュラー」(モンバエルツ監督)。指揮官の頭の中でレギュラーは11人だけではない。最近の試合でベンチを温める機会の多い彼らもレギュラーグループの一員なのだ。過去の実績からいえば前出の選手たちがリーグ戦に出場しても、なんら不思議ではないし、問題なく力を発揮するだろう。

あとは若手選手との兼ね合い次第だ。公式戦デビューとなる選手たちが浮足立つ可能性も否定できない。失点につながるミスをしたときに、そこから持ち直す反発力があるかどうか。チーム全体の機能性も含めて、未知な部分が多すぎる。「2日間の急造チームでどこまでできるか」という栗原の言葉が、まさしく真実だ。スタメン出場が久しぶりなのは、栗原や榎本もルーキーたちと同じである。

そしてサッカーは言わずもがなチームスポーツである。個々がスタンドプレーに走っていいわけがない。ほとんどの選手が「チームが勝つために」と言葉をそろ えたが、それをピッチ上で体現するのは意外と難しい。目的はたった一つでも、そのための手段や方法を共有するのはそれほど簡単ではない。

明日はキャリアの浅い選手たちの若々しく、エネルギッシュプレーに期待したい。そして実績ある選手に要所を締めてもらい、勝利への道筋を照らし出してほしい。すべてが上手くいくはずもなく、苦しい時間帯も予想される。我慢や忍耐も、示すべきクオリティとして、意義ある90分にしたい。

 

 

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