「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

水曜日のナビスコカップは今回のメンバー中心の編成に [ナビスコ第1節川崎戦レビュー]

 

終わってみれば、すべての可能性のあるゲームだった。前半はまったく攻めることができずシュート1本に終わったが、後半は少なく見積もっても3度決定機があった。ファビオのヘディングシュートはポストを叩き、三門雄大と伊藤翔が迎えた終盤の決定機は相手GKに阻まれた。そのうちの1本でも決まっていれば、スコアは1-0以上だったかもしれない。

 一方で、負けるリスクも少なからず存在した。前半に森本貴幸に許したヘディングシュートをセーブした榎本哲也は殊勲者である。「テツ(榎本)に助けられた」と栗原勇蔵が同期入団選手に賛辞を送れば、榎本自身は「オレが危険な場面を止めることでチームの士気も上がる。そのために頑張らないといけないし、チームに流れを持ってくることができたと思う」と安堵の表情を浮かべた。後半にも決定的なヘディングシュートを許す場面があり、被シュート15本という数字を鑑みても苦しい試合だったことは否めない。

ただ、結果はそのどちらでもなく、両チームにゴールが生まれないスコアレスドロー決着となった。勝ちたかったし、勝つチャンスがあったかもしれないが、それは少々欲張りというもの。直近のリーグ戦から11人総替えし、この試合がプロデビューの選手が3人もいた。今季初出場の選手もいた。その急造チームが粘り強く戦ったことに価値を見出すべきだ。

 

下バナー

 

 週末にリーグ戦はおろかカップ戦すらない状況で行われたミッドウィークのゲームで、今回のマネジメントである。つまり今後、週末にリーグ戦が予定されている場合、水曜日のナビスコカップは今回のメンバー中心の編成と見て間違いない。毎回総替えするかどうかは別としても、必ずチャンスはやってくる。その機会を作り出したのは、この日のパフォーマンスが起源である。

4月2日のガンバ大阪戦以降は新加入FWカイケが出場できる見通し。さらに移籍ウインドーぎりぎりのタイミングで、ほかにも外国籍選手の補強があるかもしれない。つまりリーグ戦出場へのハードルはさらに高くなるが、公式戦のピッチでプレーできたことは何にも変え難い収穫だ。すぐに実らなくても、必ずや報われる日がやって来る。

そして最後に。栗原は「サポーターもすごく盛り上げてくれた」と述べた。選手たちを勇気づける声を発し続けたサポーターの姿勢は、記者席から見ても本当に素晴らしかったことを記しておきたい。

 

 

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ