「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

勝つと他会場の結果次第で首位に浮上する可能性。首位の浦和レッズを叩きたい [1st6節浦和戦プレビュー] 

3連勝の勢いそのままに、首位の浦和レッズを叩きたい一戦だ。開幕戦でベガルタ仙台に敗れたときは、第6節を迎える時点でいまの順位を想像するのは難しかった。第2節で昇格組のアビスパ福岡と引き分け、当時は勝ち点3から見放されていた。それが第3節・アルビレックス新潟戦から怒涛の3連勝を飾った。特に前節は西の強者・ガンバ大阪との熱戦を見事に制した。

 内容が劇的に良くなったわけではないが、この3連勝は自らの力で掴んだものと考えていい。新潟戦とサガン鳥栖戦でゴールを決めたのは富樫敬真のストライカーとしてのポテンシャルであり、中町公祐やマルティノスの得点はファインゴールと呼ぶにふさわしい。鳥栖戦で華麗なループミドルを決めた中町は「自分のゴールもそうだし、マルちゃんのカウンターも、練習では見たことのないシュートと形だった。でも、それを決められるのがJ1のマリノス」と胸を張った。もう一度やれと言われれば難しいだろうが、本番の舞台で一度でも成功すれば、それで万々歳なのだ。

一方の守備は、5試合すべてで1失点している。セットプレーからの失点も多く、相変わらず元チームメートに恩返し弾を食らうケースも多い。それでもポジティブにとらえるならば、2失点目を喫していないことが大きい。小林祐三が「マリノスの選手には守備のマインドがある。だから失点したとしても、大崩れすることがない」と言ったとおりだ。複数失点しない守備陣の踏ん張りが、3連勝の根底にあったともいえる。

しかしながら浦和戦に向けて、齋藤学が不在なのは大きな痛手である。ガンバ戦で左太もも裏を痛めて途中交代し、その後に筋肉系の故障が発覚した。現在はグラウンドで軽めのランニングを行うなど重傷ではないが、再発が最も怖い。瞬発系のプレーヤーだからこそ、しっかり完治させなければいけない。浦和戦はチームの“飛車”を欠くことになるが、総力を結集して戦う必要がある。

 

 

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齋藤が抜けた左MFには遠藤渓太が入る。水曜日のナビスコカップ・柏レイソル戦でベンチスタートとなったのは、この一戦を見据えたマネジメントだろう。本人は「学くんとは違う色を出したい」と闘志を燃やす。デビュー当時の勢いに陰りが見えるのも事実だが、結果を出すことで一皮むけてほしい。いまは試合に出れば出るほど伸びる時期で、成功と失敗を繰り返しながら成長すればいい。

 勝利へのポイントは、まず守備となる。遠藤のほかに1トップにカイケ、右MFには引き続きマルティノスが入る。この前線の3枚が浦和のビルドアップに対してどれだけしっかり守れるか。無闇にプレッシャーをかけても剥がされるだけで、トップ下の中村俊輔は「1枚ズレると全部がズレてしまう」と危惧している。中村のコーチングが欠かせず、彼らを浦和に免疫のない3選手をしっかり操縦しなければいけない。

オフェンスはセットプレーを有効活用しつつ、カウンターに活路を見出したい。ここでもファウルを獲得でき、カウンターのスイッチを入れる齋藤の不在が大きく響くが、遠藤やマルティノスのスピードも相手にとっては厄介なはず。ボールを奪ってからのスピーディーなオフェンスで浦和守備陣の隙を突けるか。

勝つと他会場の結果次第で首位に浮上する可能性がある。まだ1stステージの序盤とはいえ、首位に立ったときに順位表を眺めるのは実に気分が良い。その状態で1週間過ごすのは次節へのモチベーションにもなるだろう。そういった観点でも、浦和戦は間違いなくビッグマッチだ。

 

 

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