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「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

さまざまなことが良い方向に進んでいる [1st7節磐田戦レビュー]

 

あらためてセットプレーは恐ろしい武器だと思い知らされた。正確無比のキックで先制点と2点目の起点となった中村俊輔は「2点がセットプレーから入れば、逆の立場だったら難しかった」と振り返った。しかも試合の立ち上がり3分と11分の出来事である。相手にとっては出鼻をくじかれるどころか、メンタル面に影響があってもおかしくない。マリノスは得意のセットプレーでかなり有利な展開を自ら作り出した。

 ピンチがなかったわけではない。2点リードして気が緩んだのか、失点場面の得点者へのマークは明らかに緩慢だった。GK飯倉大樹も決してノーチャンスのシュートではなかっただろう。この時間帯は両ゴール前を行ったり来たりで、マリノスは中盤でのボールロストも多かった。そして失点直後の24分、自陣で中町公祐がボールをロストし、アダイウトンに決定的なシュートを許す。これを飯倉が左手一本でセーブした場面こそ、試合の潮目だった。

同じようなピンチのシーンがもうひとつ。36分に自陣での横パスを奪われ、相手の1トップ齊藤和樹がチャンスを迎える。そこに懸命のランニングからスライディングで阻止したのは喜田拓也だった。相手にシュートを打たせず、失点を回避。その直後の38分に齋藤学→マルティノス→カイケとつながった「コレクティブな攻撃」(エリク・モンバエルツ監督)が決まった。

大量得点に隠れがちだが、要所で見せた高い守備能力が大勝した最大の要因である。90分トータルでクオリティが高いゲームではなかったが、勝負どころで発揮した地力の差は明らかだった。

 

 

 

それにしても、齋藤を先発から送り出した指揮官の采配には脱帽するしかない。試合前日に「90分というリスクはとらない」と話し、先発を否定したわけではなかった。とはいえ日本人監督の一般的な感覚なら、ベンチスタートが普通だろう。しかし蓋を開けてみれば先発し、どのタイミングで交代するか、が正解であった。

 

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あえて言うと、非常にリスキーな采配に思える。結果的に序盤から優位に試合を進め、前半終了時点で4-1と大量リードに守られていた。それによって交代のタイミングが簡単になった。拮抗した展開で試合が進んでいたらと思うとゾッとする。攻撃の核である齋藤を時間制限のために途中交代させなければいけない状況も想定できた。采配的中と采配失敗は、実は隣り合わせに存在する。

試合後のインタビューなどで齋藤自身が話していたように、彼は試合前日にようやく全体練習に合流した。左太もも裏を痛めて途中交代したガンバ戦以降の2週間でフルメニューをこなしたのはこの日だけ。指揮官は「ガンバ戦で筋肉系のけがをして、そのあと十分にトレーニングできていなかったので、今日は彼を守るために早く交代した」とコメント。練習への出席率が優先されるとしたら、彼はまったく足りていない。ただ、プロの世界は本番で何を見せるかがすべて。モンバエルツ監督にとって『メンバー入りできる』は『スタートからピッチに立てる』と同義語なのだ。

それにしてもカイケや喜田の初ゴールなど、さまざまなことが良い方向に進んでいる。この流れを大切にして、これからも勝ち点3を積み上げていきたい。

 

 

 

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