「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

10ヶ月ぶりの先発となる栗原勇蔵に奮起を求めたい [1st12節鹿島戦プレビュー]

はじめに、トゥーロン国際大会に参加するU-23日本代表に富樫敬真、前田直輝、喜田拓也の3選手が選出された。富樫はガーナ戦で見事なゴールを決め、一躍その名前が全国区となった。今回の選出について「本当にシンプルだけど、結果を出し続けなければいけない立場」と気を引き締め直していた。そのガーナ戦に追加招集された前田も出場し、もう一度チャンスを与えられた格好だ。「マリノスのプライドというか、そういうものを出していきたい」と鼻息は荒い。

 最後に、喜田である。昨年末は負傷によって代表活動に参加できなかったが、そもそも同じ世代で喜田以上にリーグ戦に出場している選手はほとんどいない。アピールが実ったというよりは、クラブでの活動に影響が出ないようにここまで配慮されていた可能性もある。ボランチとして考えられている浦和レッズの遠藤航がACLとの兼ね合いで選出されていないことも、喜田の選出を後押しする一因となった。「歯を食いしばって自分と向き合ってきたからこそのチャンス。味わった気持ちを大事しながら、それをわすれないように、そういう姿勢を出していければ」と闘志を燃やしていた。

リオデジャネイロ五輪に向けて、今回のトゥーロン国際大会は最後のアピールの場といえる。W杯が23人なのに対して五輪は18人の招集精鋭だ。オーバーエイジの選手を最大3名招集するならば、もともと少ない枠はさらに限られる。3選手とも複数のポジションをこなすユーティリティ性というよりも、それぞれの持ち場でスペシャリティを発揮するタイプだろう。富樫は決定力と勝負強さが光るゴールゲッターとして、前田は自ら仕掛けて行けるサイドアタッカー、喜田はファーストボランチとして守備能力を期待されている。

 明日の鹿島アントラーズ戦を終え、来週の半ばから代表チームの一員として行動するため、少なくともリーグ戦2試合(ヴィッセル神戸戦、柏レイソル戦)には出場できない。チームにとっては痛手だが、彼らの将来を考えて快く送り出さなければならない。日の丸を背負っての躍動を期待したい。

そして、鹿島戦では世代別代表以外に奮起を求めたい選手がいる。もちろんピッチに立つ全員に求めたいが、その中で今回は栗原勇蔵の名前を挙げないわけにはいかない。リーグ戦での先発は昨年7月以来、実に10ヵ月ぶりとなる。昨年途中からファビオにポジションを奪われ、ベンチを温める日々が続いていた。今シーズンに入っても状況は好転せず、リーグ戦とは別部隊で活動しているナビスコカップで試合に出ていた。彼自身が築き上げたキャリアを考えると、モチベーションを保つのは非常に難しかったはず。「自分の中でいまよりも悪い立ち位置はない」とプライドをのぞかせた。

 

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久しぶりのリーグ戦先発で、試合が始まれば自然と力が入るだろう。対戦相手はこれ以上ないほど強力で、パク・ジョンスという未知の選手も操縦するタスクもある。栗原にとってはとてもハードなゲームになるに違いないが、求められるのはクオリティのみだ。パフォーマンスの良し悪しは試合結果を左右する。責任を背負った上で、一発回答を求められている。

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