「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

終盤に見せた分厚い攻撃には可能性を感じさせた。だからこそ成果と収穫が欲しかった [1st12節 鹿島戦レビュー]

 

 同じ過ちを繰り返したことが残念でならない。開始9分、タッチライン際で小笠原満男がマリノスゴールに背を向けている状態のところに、マルティノスがレイト気味に足をかけてしまい、これがファウルの判定に。前節のヴァンフォーレ甲府戦でも同じように不必要なファウルからの流れで失点していたが、その教訓がまったく生かされていなかった。マルティノス個人の問題になるが、チームとして猛省する必要がある。

ゴール前のマークに関しても言及しないわけにはいかない。柴崎岳が蹴ったボールはインスイングで精度の高いボールだった。GK飯倉大樹がゴールマウスを出て対処するのは難しい。仮に飯倉に任せるのであれば、ディフェンスラインをもう少し高く設定してGKのプレーエリアを確保しなければならなかった。金崎のマークを担当していたのは下平匠で、力強さという点でややミスマッチだった感は否めない。中澤佑二は昌子源、栗原勇蔵は植田直通、小林祐三は山本脩人、パク・ジョンスは赤﨑秀平をマークしていたが、いまのマリノスは誰が出場しても高さというファクターに欠ける。

90分全体でのチャンスの絶対数では、鹿島を上回っていた。指揮官の言葉を借りるならば「リアリティが足りなかった」といいうことになるが、簡単に5得点できる試合もあれば、何本打っても決まらない日もある。鹿島戦は後者にあたるゲームで、齋藤学やマルティノスのシュート、あるいは中町公祐のヘディングはすべてゴールネットを揺らさなかった。鹿島のようなゲーム運びが上手なチームに対して安易な失点を喫してしまえば、勝ち点3が遠のいて当然である。

 

 

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 個々の振り返ると、久々の先発出場となった栗原勇蔵やリーグ戦デビューとなったパク・ジョンスのパフォーマンスは悪くなかった。チームとしても、終盤に見せた分厚い攻撃には可能性を感じさせた。だからこそ成果と収穫がほしかった試合である。中澤佑二は「去年の鹿島戦とくらべると内容は良かったかもしれない。ただ僕たちは勝ち点3を目指してプレーしていて、結果として勝ち点を取れていない」とつぶやいた。

これで5試合勝ちなしで、その戦績は1分4敗と勝ち点をほとんど奪えていない。きっかけとなる勝ち点3はこの日も取れず、チームは暗いトンネルから抜け出せていない。

 

 

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