「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

中澤佑二「終わりなき努力と挑戦」


今季のリーグ戦を終えて、シーズンを通し最も安定してチームに貢献した選手は誰かと問われたら、私は迷わず中澤佑二の名をあげる。

毎シーズン目標に掲げる「全試合フル出場」には、累積警告による出場停止で1試合足りなかったが、出場時間2,970分は全試合出場の兵藤をおさえチーム最多。34歳となった今季も地道で入念なコンディション管理を続け、大きな怪我もなくリーグ戦を終えた。リーグ最少失点に大きく貢献し、近年は「おとり役」になることが多いセットプレーからも3得点をマークしている。

コンセプトに対する真摯な取り組み

今季の中澤の素晴らしさは「安易なクリアに逃げず最終ラインからボールをつなぐ」「全体がゾーンを押し上げて高い位置からプレスをかける」など、あまり得意としないプレースタイルを要求されるチームコンセプトに正面から向き合い適合度を上げ続けたことにある。

確かにシーズン序盤は、後方からパスをつなごうとしてミスになり相手のカウンターの起点となることもあった。プレスが連動せず、簡単にウラを取られるシーンも少なくなかった。しかしチームとしても個人としても厳しい時期でも、中澤は求められるプレースタイルへの取り組みを止めなかった。序盤の低調はチームと同様、新たなスタイル確立・適応のために必要な助走期間であったと見るべきだ。

チームに内容と結果が表れるのに並行して中澤も安定感を取り戻した。DFラインを細かく押し上げて、中盤との距離感を保つこともできた。20代の頃に比べるとスピードの衰えは否めないが、90分を通した集中力の維持と1対1での駆け引きの妙は他の追随を許さない。自分の間合いに持ち込み優れたインターセプトを見せるCBはリーグにも数多いるが、後手に回った難しい状況でも冷静に相手の選択肢を限定してミスを誘い、水際でボールを絡め取る「引き出しの多さ」は百戦錬磨の業。守備で違いを見せられる、リーグ屈指の存在であることを改めて証明した。

24節アウェイのFC東京戦で自陣ゴール前でのパスミスから失点したようにプレッシャーを受けると厳しいが、フリーでボールを持った際のフィードやサイドチェンジの質、つなぎのパススピードは昨季よりも向上している。時にはラインを押し上げながらのボール奪取から、そのままドリブルで持ち上がる積極性も見せた。

物言わぬ貢献

貢献度の高さは、公式戦のピッチで見せたパフォーマンスに止まらない。チームに結果が伴わず監督の去就が噂された時期も批判的な発言は控え、

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