「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

アタッカー陣が3得点を奪い、守備陣が無失点に抑える“好調”。それなのに・・・ [2nd3節神戸戦プレビュー]

 

最も難しいのは試合に勝つことで、すべてはそのためにある。勝つために必要なのが得点だから、ゴールすることもかなり難しい部類だ。

その点において、2ndステージ開幕後の2試合の結果はパーフェクトと言うほかない。アタッカー陣が3得点を奪い、守備陣が無失点に抑える。傍から形容するならば“好調”になるのだろう。

 それなのに、である。チームを取り巻く空気は決して良好ではない。それが具体的な問題として表面化、顕在化するのはもう少し先だろうが、不安要素は目に見えて転がっている。いまはとにかく結果で均衡を保つしかない。いまのチームは勝ち続けることでしか先に進めない。

「連勝すると選手もスタッフもクラブもその気になる。その気になりたい」

 小林祐三の言葉である。今季は開幕から常に高いパフォーマンスを発揮し、攻守両面で地味ながら欠かせない存在になっている。SBというチーム内においては脇役的な立ち位置だが、物事を俯瞰する視点と、それを表現する言葉のチョイスに間違いはない。

いまのチームは、負けた瞬間に脆さをのぞかせるだろう。エリク・モンバエルツ体制になってからの1年半で築き上げたものは無ではないが、盤石でもない。言わば非常に危険な綱渡りをしている状態だ。

 

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 それに加えて、チームをバックアップするフロントの体制も未知数だ。新たにチーム統括本部長に就任した利重孝夫取締役やスポーティング・ダイレクターのアイザック・ドル氏の本格的な仕事はこれから始まる。クラブがその道筋をほとんど開示しないことに一抹の不安を覚える。

ここからは、どこまで勝ち続けられるかの戦いだ。現在順位が示すとおり、ヴィッセル神戸は湘南ベルマーレやアビスパ福岡よりも格上だろう。1stステージでの対戦こそ1-0で勝利したが、力差はほとんどなかった。いまは接戦を制するセットプレーという武器がないのだから、膠着した展開になると難しくなる。

3-0で勝利した2試合のように、先制点を奪えば試合を有利に進められる。ポゼッションに関してパワーダウンしていることは指揮官も認めているから、ここでもゴールやスコアで主導権を握るしかない。

 

 

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