「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

タイトルまで残された時間は270分 [ルヴァン準決第1戦 ガンバ戦プレビュー]

 

ヴァンフォーレ甲府戦を4-0の完勝で飾り、最高の形でこの一戦に臨む。ルヴァンカップ準決勝・ガンバ大阪戦は、まず5日にアウェイで1stレグを戦い、4日後の9日にホームでの2ndレグが待っている。言わずもがな2戦合計で競い、15日に行われる決勝戦へと駒を進むチームを決める。

 いまさら述べる必要もないだろうが、この大切なホーム&アウェイを齋藤学抜きで戦わなければいけない。ほかの誰が欠けるよりも痛い。攻撃の核を失ったという事実と向き合わなければならない。とはいえ、その理由は負傷や出場停止ではなく、日本代表への招集である。エリク・モンバエルツ監督は「(齋藤)学が代表に追加招集されたことは喜ばしいこと」と話した上で「絶対に必要不可欠な選手はいない」と付け加えた。

通常の招集ではなく『追加招集』である点が後ろ髪を引かれる部分だが、どのチームにも起こりうる事態だったのも事実。それがたまたまマリノスの中心選手へと成長した背番号11であった。最近のパフォーマンスを一番知っているサポーターからすれば、選ばれて当然という思いもあるだろう。日本代表の閉塞感を打破する効果的な一手になるかもしれない。起用法についての言及は避けるが、とにかく念願の日の丸を背負ってプレーする齋藤に期待したい。

マリノスに話を戻すと、齋藤不在でどのような編成にするか。中村俊輔は依然として別メニュー調整を続けており、このルヴァンカップ準決勝は難しい。その一方で、先日に甲府戦で喜田拓也が復帰し、新井一耀も戻ってきた。彼らは主に守備面に選択肢を与える存在で、甲府から中3日、中3日での連戦を考えるとローテーションでの起用も可能になる。

 

 

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試合前日のトレーニングを見るかぎり、予想フォーメーションの布陣で第1戦に臨む模様だ。最終ラインには栗原勇蔵と小林祐三が戻ってくる。彼らはこの一戦を見据えて甲府戦を欠場した可能性が高く、ここで全力投球である。中盤の底には喜田拓也が復帰するため、CBとボランチの両方をこなせるパク・ジョンスが控えに回る格好だ。

 前線はマルティノスを左サイドに回し、右サイドには前田直輝、そしてトップ下に天野純を置く。最近はボランチとしてプレーすることの多いレフティーは「自分はまず明日の試合を全力でプレーするだけ。2試合目も出場できる保証はない」と決意を示した。左目の負傷で離脱していた兵藤慎剛も戻ってきている。天野にとっては正念場の一戦となる。

チームとしては、ここがタイトルへの分水嶺だ。総力戦でナビスコカップのグループステージを勝ち上がり、大宮アルディージャとの準々決勝はアウェイゴール差で切り抜けた。金井貢史がアウェイゴールを決め、ホームでは榎本哲也が神懸かり的なセーブを連発する。ここまで余裕の展開で勝ち上がったわけではなく、薄氷を踏む戦いの末に勝ち上がってきた。だからこそ、タイトル獲得への渇望は強い。

最後に、喜田のコメントを引用したい。

「マリノスにタイトルをもたらしたい。心の底からその気持ちを持っているかどうかが結果に直結する」

 タイトルまで残された時間は270分。3連勝すれば無条件で優勝だ。まずは明日5日、最初の90分に臨む。

 

 

 

 

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