「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

「トゥーロンには自分を含めて3人(富樫・前田・喜田)が選ばれて、すごく誇らしかった。偉大なクラブにいると再認識できた」 [富樫敬真インタビューvol.3]

実施日:11月28日
インタビュアー・写真:藤井 雅彦
協力:横浜F・マリノス広報室

 


その男は彗星のごとく現れた。

練習参加から特別指定選手に抜てきされ、初めて起用された公式戦で鮮烈なゴールを決める。活躍が認められてプロ契約を勝ち取り、ルーキーイヤーの今年は五輪代表候補にも選出されるなど一躍、全国区の選手へと変貌を遂げた。

ゴールを決めてチームに貢献したいという思いだけで走り抜けた1年目。シンデレラストーリーを突き進んだ富樫敬真の素顔に迫る。


vol.2からつづく

 

――ルーキーイヤーを振り返って、とても密度の濃いシーズンに見えた。

「すべてが順調なシーズンだったとは言えないですけど、いろいろな意味で充実感はありました。順調だった時期と逆境だった時期と、それから普通の時期もあって、とにかく濃い時間を過ごせました」

 

――良いことばかりではなかった?

「はい、良いことばかりではなかったと思います。良いこと続きのシーズンというのはなかなか難しい」

 

――良い出来事とそれ以外のことはどれくらいの割合?

「リーグ戦終盤は試合に出続けることができたので後味は悪くありません。それでも良かったことが4割くらいで、あとの6割はモヤモヤした感覚が残っています」

 

――開幕前に描いていた未来予想図との差は?

「正直言うと、何かを思い描いてシーズンに入ったわけではありませんでした。最初は試合に出ることを目指して、出場した試合で点を取ることだけをガムシャラに追い求めていた。1年間終わった時の自分の姿を明確に思い描くことはできなかったです。とにかく目の前のことで精いっぱい。そうしたらあっという間に1年間が終わりました。でも大卒で23歳という年齢なので、若手ではありません。試合に出る以上は、自分の役目を果たさなければならない。それをできずに終わることだけはしたくなかったです」

 

――シーズン前半にはリオ五輪を目指す年代別代表にも選ばれた。初めての経験だったと思うけど、振り返ってみてどう?

「出来過ぎだったな、と。五輪代表候補になったことだけでも、まったく考えていない展開でした。あのまま本大会のメンバーにも選ばれていたら、本当にシンデレラストーリーになっていたと思います。悔しい気持ちもあるし、五輪の試合は今も見ていない。見たくないというのもある。でも、予選で結果を残している選手がいるわけで、その選手以上のインパクトを残さないと本大会メンバー入りに食い込んでいけない。そういう意味で自分にはアピールが足りなかったし、選ばざるをえない状況を作れなかったと思います」

 

――クラブを代表して日の丸を背負う感覚や使命感は?

 

 

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