「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

最後に決断するのは、中村だ  -中村俊輔の去就と関連報道について

 

中村俊輔に関連する記事が連日のように世間を賑わせている。今日あたりの見出しだけを切り取ると、もはや“泥仕合”の様相である。インターネット全盛の時代に、このような報道の需要があるのは想像に難くなく、その価値は確かにあるのだろう。とはいえ意味という点ではおおいに疑問だ。

先に記しておくと、本稿では中村の去就について何か確信めいたものは書かない。正確に言えば書けない。必要以上に期待すれば、時として大きな失望につながる。それでも腑に落ちない点は多々ある。それらを念頭においた上で読み進めていただければ、幸いである。

まず、移籍の仕組みについて。選手が移籍を検討している場合、基本的には本人とその所属クラブ、そして獲得に乗り出している相手側の三方が当事者となる。エージェントは本人と同義であり、当たり前の話だがメディアは完全な外野である。今回で言えば、本人が中村俊輔。その所属クラブは横浜F・マリノスで、相手側はジュビロ磐田だ。

冒頭で“泥仕合”と表現したのは『言った、言わない』の次元で話が動いているから。きっかけは12月7日、利重孝夫チーム統括本部長のこの発言だった。

「(中村)俊輔選手に関しては依然として最大限の努力をしている。毎回、最大限の努力と言っているが、それは例えばコーチや監督といったアイディアも話させてもらっている」

このように過去形で言い切った。7日以前の交渉の席で中村本人、あるいはエージェントにそう伝えていると受け取れる。これを受けての中村のコメントが、今日のスポーツ紙の見出しになっているというわけだ。

交渉の場でどんなやり取りがあったかは、わからない。当事者のみぞ知る範疇である。

ここからは仮定の話をする。

最初に利重本部長の発言だが、これは今後に向けた布石の可能性はないだろうか。言い回しの間違いで過去形になっていたが、これからの交渉における秘策を明かしたのかもしれない。だとすれば順番こそ違えども(メディアに口走ったという点で)、内容そのものは悪い話ではない。中村には将来的に監督やコーチといった指導者になるという望みがあるからだ。

 

 

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