「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

最大の関心事は中村俊輔の起用法 [天皇杯準々決勝 ガンバ戦プレビュー]

天皇杯4回戦・アルビレックス新潟戦から6週間のインターバルを経て、明日24日に準々決勝・ガンバ大阪戦に臨む。先週は4日5日の行程で宮崎キャンプを行い、この試合に向けて調整を進めた。指揮官が言うインテンシティの高いトレーニングを消化することで、フィジカル面に関して大きな問題はなさそうである。

 気がかりなのは、やはりメンタル面だ。現行のカレンダーにおいて、この時期は移籍市場が最も盛り上がる時期であり、選手によっては大きな決断を迫られるタイミングとなる。サッカーをしているとはいえ『心ここにあらず』でも仕方ないのかもしれない。選手は人間で、ロボットではない。心の充実なくして高いパフォーマンスなどありえない。

誤解を恐れず書くとしたら、この試合で良質なパフォーマンスを期待すべきではないだろう。チームによってはすでに長期オフに突入し、来季に向けた充電期間に入っている。今年の疲れを癒し、来年に向けてリフレッシュする重要な時間だ。一方で、天皇杯を勝ち上がっているチームはシーズン続行で、単純に考えると勝てば勝つほどオフ期間が短くなる。過去にも述べたと思うが、なんとも歪な構図である。

 

 

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勝ちたい選手がどれだけいるか、だろう。そして勝ちたい理由がどれだけあるか、の戦いでもある。相対するガンバは来季のACLのストレートイン(天皇杯で優勝できなかった場合、予備予選に回る可能性や出場できない恐れもある)を目指し、前人未到の天皇杯タイトル3連覇に意欲を燃やしているはず。ではマリノスはどうなのか。この中間、監督や選手、あるいはクラブスタッフから『ACL出場権』という言葉は一度も聞こえてこなかった。かくいう筆者自身もまったく意識していない。現状のマリノスにおいて、ACLはちょっと想像し難い場所にある大会だ。

 移籍の可能性がある選手にとって、天皇杯で負けた試合がマリノスでのラストマッチとなる。唯一、元日の決勝戦に進んだ場合は違うが、明日トリコロールのユニフォームとお別れする選手がいるかもしれないのだ。そんなことを思いながら試合を見るのは、サポーターにしてみればとても切ないだろう。だが、プロの世界は厳しく、時に残酷である。

ピッチ内に目を向けると、最大の関心事は中村俊輔の起用法だろう。宮崎キャンプ前から全体練習に合流し、キャンプ中には練習試合にも出場し、相変わらずの抜群のキック精度を披露した。「ひざは痛い」と話すが、ある程度戦える準備は整ったように見える。あとは指揮官が背番号10をどのように起用するか。試合を明日に控え、エリク・モンバエルツ監督は「確かなことは、新たにけがの問題がなければ俊輔は試合に出る」と起用を明言している。

今シーズンの残りゲーム数は1試合かもしれないし、2試合かもしれない。最大で3試合なのは確定している。選手個別の去就が明らかになっていくのは、マリノスの2016シーズンが終わってからだろう。

 

 

 

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