「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

フェイスガードの喜田か中町か。そして苦しい状況になれば、あの男が・・・ [天皇杯準決 鹿島戦プレビュー]

経験の浅い選手たちが躍動し、ガンバ大阪を撃破した。チームや選手によってモチベーションにバラつきが生じる天皇杯であることを差し引いても、彼らが見せたパフォーマンスはマリノスの明るい未来を予感させるものだった。準決勝の鹿島アントラーズ戦でも同じように戦えるかどうか。対戦相手が変わり、取り巻く状況も違う。その中で高いパフォーマンスを見せられれば、本当の意味での成長と言えるだろう。

ガンバ戦の内容が良かったのだから、先発メンバーに手を加える必要はない。心配なのはけが人の状況で、特に鼻骨骨折の喜田拓也は試合当日の状態次第となる。前日はフェイスガードを着用してトレーニングを行ったが、その感触について「横が見えない。いつもより首を振らないと見えない」と首を横に振った。欠場するときは中町公祐が起用される見込みで、出場したとしたら喜田がフェイスガードを着用するかに注目だ。

今シーズンのJリーグチャンピオンである鹿島は、間違いなく強者。しかし今季の対戦を見るかぎりでは絶対に勝てない相手でもない。リーグ戦では1分1敗の戦績で勝てていないが、10回対戦すれば何度か勝てるはず。そのうちの1回を明日のゲームで演じればいい。筆者の見立てでは10回のうち半分前後は引き分けの予想だが、明日に関しては延長戦やPK戦で必ず勝敗が分かれる。

マリノスの強みは試合後半になってもプレー強度を落とさないこと。これはどのチームと対戦しても大きく変わらず、展開やメンバーにも左右されない。終盤、マリノスの運動量が激減した記憶はあまりない。ガンバ戦でも相手を上回る運動量と出足の鋭さで主導権を握った。前半の鹿島はアグレッシブにボールを奪いに来るだろう。でも終盤には足が止まるタイミングがあるはず。その間隙を突きたい。

 

 

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蜂の一刺しを実現させるのは誰か。4回戦と準々決勝は天野純が大仕事をやってのけた。彼が3度目のヒーローになることを期待しつつ、本稿ではストライカーの富樫敬真を推したい。ガンバ戦では荒削りな面をのぞかせながらも、全体的に成長を感じさせるプレーを披露。ミスをしても決して下を向かないポジティブな性格な天性のもので、粘り強く何度も何度も繰り返す。この反復作業は簡単なことではない。そんな男にゴールというご褒美が訪れるのではないか。

 ガンバ戦の映像を90分確認し、富樫は「自分のパフォーマンスはFWとして物足りないと感じた。前を向ける場面で向かず、シュートを打てる場面で打っていない。このFWが試合に出てお金をもらってはいけないと危機感を持った」と話した。カイケはすでに帰国し、左足首痛の伊藤翔は別メニュー調整中でベンチ入りできない。純然たるFWはたった一人。負担は大きくても、試合を決める役割を担うには格好のシチュエーションだ。

そして苦しい状況になれば、今度は中村俊輔がもっと早い時間帯に投入されるだろう。千両役者がいったいどんなプレーを見せるか。違いを生み出すワンプレーに期待だ。

 

 

 

 

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