「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

「10番だし、逃げたくない」 -囲みコメント全文 [中村俊輔の磐田完全移籍]

 

8日、横浜F・マリノスはMF中村俊輔(38)がJ1・ジュビロ磐田に完全移籍することを発表した。中村はマリノスジュニアユースから桐光学園高を経由し、1997年にトップチーム加入。02年以降はレッジーナ、セルティック、エスパニョールが欧州を転戦し、2010年にマリノスに復帰。チームが優勝争いを演じた2013年には史上初となる自身2度目のリーグMVPに輝くなど抜群の存在感を発揮した。直近の2016年は負傷の影響もあり19試合の出場にとどまったが、1stステージの第2節・アビスパ福岡戦や第5節・ガンバ大阪戦で印象的な直接FKを決めるなど、特別な左足でファン・サポーターを魅了した。

ついにこの日が訪れた。リーグ戦終了後から噂されていた中村の移籍が、現実のものとなった。正式発表と同時刻からの囲み取材で、中村は穏やかな表情で質疑応答に応じた。マリノスへの想い、サポーターへの想い、そしてチームメートへの想い。最後は自分自身がサッカー小僧で在り続けるために、大きな決断を下した。

本稿では、まず本人の言葉を余すことなく届ける。決断に至った背景や過程、あるいは第三者から見てもわかった悩み、葛藤についてのレポートは、後日お届けする予定だ。

 

【囲みコメント全文】

MF 10 中村 俊輔

――磐田への完全移籍が正式発表となったが

「マリノスのファンやサポーターの方々の前で報告したかった。タイミングが合わなかったことが申し訳ないし、心残りという感じです。若い時からずっと応援してもらって欧州から帰ってくる時も自分のために横断幕を出してもらって、2013年には自分と優勝したいという内容の横断幕を出してくれた。それは自分のサッカー人生で初めてのことだった。純粋に嬉しかったし、本当に優勝したかった。最後、フロンターレのグラウンドで負けて、今までひざをついて崩れ落ちたことなんてなかった。ワールドカップでもチャンピオンズリーグでもなかったけど、あの時は力が入らなかった。今年はけがが長引いてしまって、移籍する前に良いプレーができなくて申し訳ないし、残念」

――移籍を決断した理由は?

「純粋にサッカーを楽しんだり、練習したことを試合で発揮して、うまくいったり、いかなかったりして。うまくいかなかったらまた練習で見直して、次の試合に向かっていく。そのサイクルに戻りたい。もう現役でプレーできる時間は長くないので。サッカーへの情熱を大事にして、純粋にボールを追いかけたい。あとは信頼を感じながらサッカーがしたい。自分がマリノスを離れるなんて考えてもいなかった。そういうふうになる自分も不思議で何回も考えたけど、今年は苦しい時間だった。今までのサッカー人生でもないくらい。

 

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