「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

「いまの状態で二桁得点取れないなら、それは成長していないということ。(二桁得点は)マスト」 (富樫) [総力特集/開幕への期待vol.4 :富樫敬真]

 

 

 

 いよいよ開幕が目前に迫った。総力特集最終回は1トップとして開幕スタメン濃厚の富樫敬真で締めたい。

 ルーキーイヤーの昨年はFW陣で最多となる5ゴールを挙げ、U-23日本代表に選出されるなど、その名を全国区にした。迎えたプロ2年目はプレシーズンの対外試合で6戦5発と絶好調。どの相手、試合でも少ないチャンスをゴールに結びつける決定力が光っている。

 その背景にあった“きっかけ”とは。プロ2年目を迎えるリアルストライカーの矜持に迫る。

 


 

対外試合6戦5発のゴールを振り返ろう。

富樫敬真の2017年はバンコク・ユナイテッド戦での先制ゴールから始まった。中島賢星からのグラウンダーパスを受けると巧みなターンで相手のマークを外し、左足で冷静なフィニッシュ。続くスパンブリー戦では途中出場ながら、ワンチャンスを生かして見事なヘディングシュートを決めた。

宮崎キャンプに入り、大宮アルディージャ戦こそ不発に終わったが、キャンプ総仕上げのFC東京戦でゴールネットを揺らす。右サイドの前田直輝が切り返しから左足でクロスを上げ、ニアサイドに入り込んだ富樫がダイレクトで合わせた。

キャンプ後の日本体育大学戦では中町公祐のスルーパスに抜け出し、GKとの1対1を確実に決める。後半からの出場となった町田ゼルビア戦では、対峙したCBと入れ替わるように強引な突破を繰り出し、正確に流しこんだ。

ゴールは進化とイコールに位置づけられる。だが、今年の富樫はゴールだけではない。相手DFを背負うプレーの精度が増し、ポストプレー時のロストが減った。半身でボールを受け、インサイドとアウトサイドを巧みに使って相手をいなす。ゴール前でのターンだけでなく、中盤でボールを受けてさばくプレーに進捗が見られる。

プレー全体の手ごたえについて「『富樫敬真にパスを出せば点を取ってくれる』という潜在意識を作るためには、やっぱり信頼関係を築くしかない。それは点を取ることもそうだけど、ポストプレーなどの総合的な部分が大事。スタッフやチームメートとの関係を高められたことが練習試合での得点につながっている」と自己分析。すべてにおいてアップグレードされていることが、目に見える結果と内容の充実の両方につながっている。

 

 

思い返せば、昨年の今頃はルーキーの一人でしかなかった。特別指定選手時代の一撃でプロ契約を勝ち取ったとはいえ、開幕時点でレギュラー候補にはなれていない。チャンスが巡ってきたのはリーグが開幕し、チームの結果が芳しくないタイミングだった。ウーゴ・ヴィエイラや伊藤翔と激しく競り合ってきた今年とは、過程が明らかに異なる。「練習試合で点を取る癖を作りたかった。その良い流れを切らさず開幕を迎えられるのは大きい」という自信を持って開幕戦に臨む。

 

 

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