「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

選手会長中町の漢気と、新主将齋藤の爆発。新潟戦は目の離せないゲームになる[3節 新潟戦プレビュー]

公式戦2連敗となってしまったが、リーグ戦2連敗は絶対に避けなければならない。開幕からレギュラーに定着している天野純は「上位争いするなら連敗は絶対にできない。ヤマ場の試合だと思う」と語気を強めた。シーズンが始まったばかりの第4節とはいえ、リーグ戦連敗の精神的ダメージは思いのほか大きいもの。逆にこのホームゲームをしっかり勝って星取表を3勝1敗にできれば、鹿島アントラーズ戦での黒星のショックを払拭できる。ここは勝ち点1ではなく勝ち点3が是が非でもほしい。

 ただし、天野とコンビを組んでいた喜田拓也がこの試合には出場できない。鹿島戦で痛めた右太もも裏は開幕前から違和感を抱えていた箇所で、痛みに耐えながら懸命のプレーで中盤の底を支えてきた。しかし鹿島戦で再び受傷したことによって、今週は全体練習から外れて別メニューで調整。試合前日も全体練習には加わらず、エリク・モンバエルツ監督は「この試合のメンバーには入らない」と欠場を明言した。攻守両面で存在感を高めていた選手だけに、欠場は少なからず痛手となるだろう。

代わって先発濃厚なのが中町公祐だ。開幕からのリーグ戦3試合はベンチスタートとなり、思うところもあるはず。喜田が離脱していた宮崎キャンプ中は天野とダブルボランチを組んでおり、ファーストボランチの役割も安心して任せられる。経験豊富なチーム内で3番目の年齢となるベテラン選手について多くの説明は不要だろう。責任感と自覚を持って任務を遂行する。

唯一の不安を挙げるとすれば、水曜日のルヴァンカップ第1節・セレッソ大阪戦で左手薬指を負傷したこと。「もしかしたら第一関節が折れているかもしれない」。患部は腫れあがり、万全の状態ではない。だが「この程度のけがでチャンスをみすみす逃すわけにはいかない。セレッソ戦ではヘディングの競り合いでピッチに叩きつけられる場面もあったけど、その流れがオレのプロ生活を物語っている」と不敵に笑う。人は逆境に立たされたときに力を試される。中町の生き様そのものだろう。

そして、もうひとり。昨日発表された日本代表の選から漏れた齋藤学が、この試合で戦列に復帰する。

 

 

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木曜日、金曜日とフルメニューを消化し、問題ないように見える。あとはゲーム体力の問題と、戦略面を考慮したときの起用法で、先発かベンチスタートかが決まる。アルビレックス新潟の序盤は堅い展開になるかもしれない。それを見越して後半途中からジョーカーとして起用する策も十分考えられる。その一手を選んだ場合、前田直輝に先発のチャンスが巡ってくる。

 開幕からゴールこそないものの、チームの攻撃をけん引していたのは間違いない。紛れもなく「我々の攻撃のリーダー」(モンバエルツ監督)だ。存在有無が試合結果を変えるのは、存在の大きなゆえの出来事である。だが、今回は軽傷とはいえ筋肉系の故障で鹿島戦を欠場してしまった。日本代表で絶対的な存在になっていない選手を、リスクがありながら招集するはずもない。鹿島戦欠場がなければ順当に選ばれていたはず。そう思えばいい。

悔しさとともに、タイミングの悪さに苛立ちを覚えていることだろう。試合前日も多くを語らず、練習グラウンドを後にした。言葉はいらない。すべてはピッチ上で爆発させる。自身の力を証明し、鬱憤を晴らす今季初ゴールの画が浮かぶ。そして齋藤は胸のエンブレムを指さし、背中にある番号を強調するだろう。

選手会長の漢気と、新主将の爆発。新潟戦は目の離せないゲームになる。

 

 

 

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