「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

「オレが1年目にマツさんや竜二さん、佑二さんに助言されて『いや…』と言うことはありえなかった」 【金井貢史選手インタビュー第2回】

実施日:3月28日(火)
インタビュアー・写真:藤井 雅彦
協力:横浜F・マリノス広報室

 

金井貢史にとって節目のプロ10年目だ。
ジュニアユースから過ごしてきた“我が家”に帰ってきたのは昨年のこと。
4年ぶりにトリコロールのユニフォームに袖を通し、F・マリノスのエンブレムを胸につけた。

「オレにとってF・マリノスはずっと憧れの存在だから」

ピッチ内外で大人に成長した27歳の言葉は、たくさんの示唆に満ちていた。

 

 

(前回からの続き)

――今年はピッチ内外で余裕が感じられるけど、本人としてはどう?

「ある程度チームを引っ張っていかなければいけない年齢であり立場だと思っています。周りを見ながら、場面によっては後輩を手助けしなければいけない。いろいろなことを落ち着いてできているという実感はあります」

 

――去年は落ち着けていなかった?

「去年はとにかく必死でした。試合に出るために練習していたし、後半戦は試合に出られたけど、離脱している(下平)匠くんの穴埋めという役割でしかなかったと思う。今年の自分はしっかり勝負できている。匠くんが戻ってきても、ヤマ(山中亮輔)が移籍してきても、(高野)遼が加入しても、右サイドにマツケン(松原健)が加わっても、どちらのポジションでも一番手になるという強い気持ちでやっています」

 

――ポジションの話をすると、右サイドバックへのこだわりもあると思う。

「間違いなくあります。右サイドからセンタリングをピンポイントで上げてアシストしたい。でも左サイドで同じようにできれば、もっと長くサッカー選手でいられる。去年までは今よりもこだわりが強くて、パンゾーさん(小林祐三・現サガン鳥栖)と右サイドで勝負したいと思っていました。今年は今のところ左サイドで出ていて、これまでレギュラーだった匠くんと勝負するという意識でいます。そうやって壁を越えていかないと。監督が迷うくらいの選択肢にならないと」

 

――同じポジションの選手をどう見ている?

「プレーヤーとしてみんな特徴があります。匠くんは最も経験豊富な選手で、実績も十分ある。ヤマは強さがあって、遼はスピードがある。マツケンはクロスが正確。でも、特徴がそれぞれあるのはサッカー選手なら普通のことで、自分に特徴がないだけ(笑)。ストロングポイントがない。だから周りの特徴は自分にとっては良い刺激になっているし、少しずつ真似していこうと思っています」

 

――金井貢史の特徴…。

「あんまりないでしょ(笑)。しいて挙げるならポジショニングかな? なんでここにいるの? みたいな。あとは人を活かすためのポジショニングとか。でもチームとしてやりたいサッカーを表現しようと常に考えています」

 

――自分をサッカーゲームの能力ゲージにすると?

「全部の項目が低いと思います。だからエディットして、能力を上げちゃう(笑)。でも、やっぱり自分の特徴に寄せたいから、全部の項目を少しずつ上げる。足だけめちゃくちゃ速くしても、それは自分とはまったく違うので」

 

――ちょっとしたこだわりだね。

「それでも今年プロ10年目だから、何かを持っているということだと思っています(笑)。ただ、自分ではっきりと分からないし、言葉にもできない」

 

――足も…。

「速くないよ! むしろ遅い(笑)。でも例えばレッズ戦のような入れ替わりの激しいゲームになっても、自分のサイドをぶち抜かれるシーンはあまりなかった」

 

――去年もあまり攻略されている印象はない。

「逆サイドのパンゾーさんが偉大な人だったので、自分のサイドを狙われていたのはあると思います。それに自分の意識が攻撃に傾いていて、あっさり裏を取られる場面があった。今年に入ってそういったシーンがあまりないのは、慣れや経験もあるけど、余裕の部分が大きい。去年は必死過ぎました」

 

――余裕の源は、チーム全体の年齢バランスの中で年長者になってきたからでは?

「平均年齢が若くなって自分がかなり上に押し上げられました。これからは今まで自分が見てきた先輩方のように落ち着いていなければいけないし、時にはチームを盛り上げなければいけない」

 

――普段とは自分を作ってでも、そういった振る舞いをするということ?

「それはないです。無理してできるタイプではないので。去年の後半戦は試合に出ることができて、ある程度自信がついた。今年は出続けなければいけないし、その意味でも存在感を発揮しないといけない。でも無理しているのではなく、あくまで自然と声を出しています」

 

――練習中もグラウンドからよく声が聞こえてくる。

「プレー面に関しての声はこれまでとあまり変わっていないと思います。ただ、練習の合間に若手に声をかけて、場面によってはイジったり。練習の内容がハードで、自分自身が苦しい時でも、チーム全体を良い雰囲気に変えていけたらとは考えています」

 

――イジりは意識してやっているということ?

 

 

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