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「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

リスク管理がなされていないマリノスは、見ている側をハラハラドキドキさせる [J7節 広島戦レビュー]

 

試合後、ほとんどの選手から厳しいコメントが発せられた。自分が知る限り、満面の笑みで喜びを表現していた選手は一人もいなかった。それもそのはずで、サンフレッチェ広島に自分たちの2倍以上となる19本のシュートを許し、終始ゲームの主導権を握っていたのは相手だった。

 開始4分の先制ゴールは素晴らしい形から。ファーストシュートとなる中澤佑二のゴールは、ゾーンで対応する広島守備陣の間隙を突いた。GKとDFの間に鋭いボールを蹴り、ターゲットにピタリと合わせた天野純のキック精度も秀逸。失点が続いて悩んでいたセットプレーからゴールを決めたのだから、最高の展開と言える。

本来ならリードした側が主導権を握れる。仮にボールポゼッションで劣ったとしても、リードしているという精神的余裕があれば問題ない。ボールを持たせる状況に不安はなく、落ち着いてカウンターを狙えばいい。齋藤学やマルティノスのスピードが最も生きる展開になるはずだった。

誤算があったとすれば、先制された広島が試合開始時と一切変わらず前へ出てこなかったこと。ビハインドの展開ながら戦い方を変えなかった。おそらく開幕から苦戦が続いているチーム状況と、ベンチに青山敏弘、柏好文という武器があったこと。これらが関係しているのだろう。先制を許しても、慌てず騒がず後半勝負という姿勢を変えなかった。

結果、引いて守る広島をほとんど攻略できず。いまに始まった話ではないが、両ウイングがタッチライン際に張り出すポジショニングは、ボール保持時に大きな欠陥を抱えている。選手同士の距離が遠く、ボールが円滑に回らない。広島のように人数を割いて蓋をしてくる相手には、ほとんど何もさせてもらえない。

 

 

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そして、広島戦では一方の守備における欠陥も顔をのぞかせた。相手に制限をかける前線からの守備が機能せず、ボールの奪いどころを作れない。その最たる原因は1トップのウーゴ・ヴィエイラとダビド・バブンスキーにある。彼らの守備貢献度が低過ぎるがゆえに、後方部隊はすべての対応が後手に回る。この日のマリノスに組織的な守備など見る影もなかった。

記者会見で後半の選手交代の狙いを聞かれたエリク・モンバエルツ監督は「守備時にインサイドを広島に使われて、そこでコンビネーションプレーを出されていたので」と話した。広島の2シャドーにあれだけ自由を与えた試合は過去にあっただろうか。毎年のように選手が入れ替わっていることによるコンビネーション不足に助けられたが、成熟した関係や卓越した個が相手にあれば、たちまちマリノスは瓦解していた。

前線からの守備が機能しないのは広島戦に限ったことではない。ただ、可変型のシステムでボールを動かしつつバイタルエリアを活用するのが上手な相手と対峙し、課題を明らかに露呈した。同じシステムを用いる開幕戦の浦和レッズでここまで問題にならなかったのは、1トップに富樫敬真がいたからだろう。守備を考えたとき、ウーゴ・ヴィエイラとダビド・バブンスキーでは厳しい。

守備の穴を補うだけの成果を攻撃で残せるのなら問題ないが、広島戦ではさっぱり精彩を欠いていた。これならスタート時から伊藤翔、天野純のセットのほうが安定するだろう。ウーゴ・ヴィエイラとダビド・バブンスキーの攻撃性能を否定するのではなく、使い方の話である。

浦和にはほぼノーガードの打ち合いの末、3-2で勝利した。スコアこそ大きく違えども、1-0で勝利した広島戦も基本的にはノーガード。リスク管理がなされていないマリノスは、見ている側をハラハラドキドキさせる。本気で上位進出を狙うのならば、決して看過できない問題だ。

 

 

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