「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

FWを獲得せよ-藤田祥史移籍までの軌跡 :ドキュメント・オフシーズン2013-移籍・補強・強化の真相 連載(2)- (藤井雅彦) 

 FWを獲得せよ

以前にも述べたように、今オフにおけるマリノスの補強ポイントは『FWと左SB』であった。
2012シーズンの戦いぶりと金井貢史をサガン鳥栖へ期限付き移籍させた事実を見ていけば、おのずとこの2つのポジションにたどり着く。その他のポジションについての積極的な動きはほとんどなかったと言えるだろう。

それはユース出身で国士舘大を経由した佐藤優平とユース所属の喜田拓也の加入が早々に決まったことにも起因する。

両者はともに中盤の底を主戦場としており、いまやチームで最も競争の激しいポジションの層はさらに厚くなった。本職はCBながらボランチとして確固たる地位を築いた富澤清太郎、シーズン終盤に相方の富澤や中村俊輔と良好な関係を築いた中町公祐、10代ながら成長著しい熊谷アンドリュー、さらに昨シーズンは病気と負傷で不本意なシーズンを送った小椋祥平も万全ならばレギュラークラスであることは間違いない。また、終盤は攻撃的MFで起用されていた兵藤慎剛もボランチが人員不足の場合は安心して任せられる。
練習試合や紅白戦のBチームでしばしばボランチを務めていた森谷賢太郎と狩野健太を放出しても、ルーキー二人を加えれば頭数としてはまったく問題ない。したがって今オフに他クラブのボランチプレーヤーにアプローチした痕跡がないのである。

そんな状況でフロントが真っ先に着手したのがFWの補強だった。とはいえコンディションが整っていればマルキーニョスの地位は揺るぎようのないものだ。リーグ戦22試合出場で10得点を決める能力は36歳になっても健在。鹿島アントラーズが3連覇を成し遂げた当時のように一人で複数の選手を引きつけてもボールキープする爆発力や、カウンターの際に単独で数十メートル運ぶドリブルパワーこそ少しダウンしたものの、それでもなおJリーグトップクラスの実力を備えている。心配なのは年齢から避けられない負傷だけで、34試合フル稼働するのはやや厳しい。試合はもちろん練習でもフルパワーを出すタイプだけに、監督はじめコーチングスタッフのハンドリングが重要となる。

そう考えると、必要なのはマルキーニョスに代わるエースストライカーではなく、あくまでバックアップの選手、もしくは「攻撃のオプションとなる選手」(樋口監督)となる。そこで最初に名前が挙がったのが大宮アルディージャに所属する長

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