「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

2連勝で気がつけばグループ3位に浮上 [Lカップ4節 甲府戦レビュー]

 

開始5分、この試合最大のピンチを招いた。ヴァンフォーレ甲府陣内からの縦パスがCBパク・ジョンスの背後を襲い、巧みな動き出しで裏を突いたドゥドゥが抜け出す。栗原勇蔵のカバーリングも間に合わず、ドゥドゥは右足でゴールを狙った。だがルヴァンカップで先発を続ける杉本大地が素早い反応で防ぎ、CKへ逃げた。試合のすう勢を決めるビッグプレーだった。

 その後は地力に勝るマリノスがポゼッションし、戦前の予想通り[5-3-2]でブロックを作る甲府をこじ開けようと試みる。25分、遠藤渓太のクロスは一度DFにクリアされたが、こぼれ球を拾った中島賢星がミドルシュート。29分には右サイドの吉尾海夏からウーゴ・ヴィエイラに渡り決定機が訪れる。しかしシュートが決まらない。

それでも31分、ようやくゴールネットが揺れる。左サイドでボールを持った遠藤はシュートを選択。「正直言うとクロスと迷っていた。ただ、この前のルヴァンカップでゴールを決めて、ゴールに対する欲が高まっていた。それがシュートという決断につながった」と1週間前のアルビレックス新潟戦でのゴールの副産物だ。これが相手DFに当たってコースが変わり、吉尾が押し込む寸前にDFに当たってゴール。オウンゴールという形ではあるが、畳みかけるような攻撃と前節得た自信が伏線となっての先制である。

 

 

下バナー

 

終わってみればこの1点を守りきり、アウェイながら1-0で勝利を収めた。終盤に訪れたピンチも杉本がファインセーブで乗り切った。2連敗スタートで土俵際に追い込まれたルヴァンカップだが、その後の2連勝で気がつけばグループ3位に浮上。今年からレギュレーションが変更し、1位は自動的に勝ち抜け、2位と3位がプレーオフを戦う仕組みとなった。残り2試合を残り、十分にチャンスのある位置だ。

 一方で、内容に目を向けると残念ながら収穫に乏しいゲームだった。先制点に絡んだ遠藤は浮かない表情で「自分含めてミスが多く、いろいろなところで緩さが出た試合だった」と振り返る。相手が引いて守っていたのはたしかだが、それをこじ開けるような強引さもアイディアもなかった。62分という交代時間はこの日のパフォーマンスを見てか、それとも4日後のリーグ戦を見据えてのものか、判断は非常に難しい。

まずまずのパフォーマンスを見せ、後半開始間もない52分にベンチに下がった扇原貴宏も勝利に満足していなかった。「前半のうちにもう2~3点取れるチャンスがあった。1-0のままゲームが進むのは危ない。2点目、3点目を決めて、もっと余裕ある試合運びをしたかった」とあえて辛口で評価し、さらに「最後にピンチもあったし、あれを決められていたら勝ち点3が勝ち点1に変わってしまう。そのあたりはチームとしてもっと突き詰めていきたい」と次を見据えた。

勝利という喜ばしい結果を得たが、すべて良しという内容ではなかった。リーグ戦出場へのアピールにつながるプレーは少なく、課題を多く残すゲームとなった。

 

 

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ