「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

マリノスとしてどのようなサッカーを展開するか。苦労の大きさは、収穫の大きさにつながると信じたい [J10節 鳥栖戦プレビュー]

 

多くの選手が口を揃えたように、対戦相手云々を語っている状況ではない。相手あってのサッカーなので、性質やストロングポイントを知っておく必要はある。しかし、それを過度に意識している余裕などない。

 豊田陽平がストロングヘッダーで、新加入のイバルボに未知の魅力があること、そして右SB小林祐三は言うまでもなく守備能力に長ける。あるいはセットプレーで上がってくるであろう谷口博之にも注意したい。ひとまず個々の特徴を頭に入れ、自分たちのプレーを見つめ直したい。

いまはマリノスとしてどのようなサッカーを展開するか。ここまで無得点と悩みの深い齋藤学は「苦しい時期はシーズンの中で必ずある。この苦しみを越えればいいサッカーができる」と自らに言い聞かせるように言った。苦労の大きさは、収穫の大きさにつながると信じたい。

背番号10と対照的に好調を維持しているマルティノスは厳しい表情で言った。

「チームとして持っているものはあるのに、それを出しきれていない歯がゆさがある」

 チームと個人の両方が、ベストパフォーマンス時の出来にない。きっかけ一つでもあるが、コンディションの問題も少なからずあるかもしれない。今節、喜田拓也は負傷により出場が難しいかもしれない。その場合、中盤の底でへその役割を担うのは扇原貴宏だろう。喜田にアクシデントが発生したのは水曜日だというから、その当日のルヴァンカップ・ヴァンフォーレ甲府戦で扇原が後半早々にベンチに下がったのは、鳥栖戦を見据えてのものという推測もできる。

 

 

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 齋藤は「戦術に縛られ過ぎている部分もある。ガンバは流動的に動いてきて、こちらも守りにくかった。良かった部分は参考にしたい」とも話した。指揮官は練習からポジショニングについて多く指示を与えるが、それは勝利するための手段の一つに過ぎない。ポジショニングが目的になってはいけない。結果として選手同士に距離が遠くなり、ボールが回らないので意味がない。

34試合あるリーグ戦も10試合目となる。そろそろ序盤戦が終わり、ここまではリーグの中位に甘んじている。対峙する鳥栖はマリノスよりも少ない勝ち点だが、負ければ両者の立ち位置が入れ替わる。そして上位陣の背中が霞んでしまい、下位グループに吸収されてしまう。

シーズンの分水嶺と言えるゲームだろう。エリク・モンバエルツ監督が就任して以降、マリノスはこのような状況のゲームで地力を発揮し、ほとんど勝ってきた。そのおかげで下位グループに沈んだ記憶はない。今度もまた底力を見せて連敗をストップできるか。できなかった時は、チームに何らかの変化をつける必要がありそうだ。

 

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