「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

看過できない3連敗 [J10節 鳥栖戦レビュー]

 

悪夢のようなゴールデンウィークになってしまった。5月3日のルヴァンカップ・ヴァンフォーレ甲府戦こそ勝利したものの、リーグ戦は勝ち星どころか、勝ち点すら、そしてゴールすら決められないまま終わった。いったいどの試合からゴールデンウィークにカウントすべきなのか分からないが、悪い前兆は大型連休前からあった。

 柏レイソル戦から始まった無得点での3連敗だが、その前のサンフレッチェ広島戦も散々な内容だったことを忘れてはいけない。そう見えていないのは1-0の完封勝利を飾っているから。しかしセットプレーから奪った1点をどうにか守りきった幸運な勝利であり、特にオフェンス面はマルティノスの単騎突破のみ。効果的なビルドアップは皆無で、齋藤学もこの試合から精彩を欠いていった。

結果論にしたくないのだが、広島戦を終えて「勝っただけ」という選手たちの言葉が現実になった。苦しいながらも勝ち点3を得た価値はあったが、内容面で次につながる要素は皆無。つまり「勝って反省する」はずが、反省も修正もできていない。広島戦以降、柏戦もガンバ大阪戦もポゼッション時にチャレンジする姿勢がなく、凡ミスが多い。扇原貴宏のボールロストはまさに痛恨の極みだが、同じようなミスは他の場面でも散見された。

サガン鳥栖戦では両サイドハーフが中寄りにポジションを取る施策が見られた。これまではタッチライン際をスタートポジションにすることで相手を広げさせる狙いを持っていたが、それでは選手間の距離が遠くなり、ボールが回らない。そこで選手たちが自発的に戦い方を変え始めた。変化を求めた上でのアクションは次へのきっかけとなる。

 

 

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だが、一方でチームのストロングポイントは消えた。齋藤とマルティノスの打開力は、仮に封じられれば「それだけ」と思われても仕方ない。ただし彼らが突破に成功して輝いた時には、ストロングポイントとして称賛される。どちらを取るか、だ。そして齋藤は中寄りでもプレーできるが、マルティノスは違う。鳥栖戦を踏襲して次のゲームに臨むのなら、選手の起用法も配置も変わってくる。

 問題は、それを指揮官がどう捉えているか。選手主導の工夫はポジティブなことでも、先発メンバーと配置を決めるのはエリク・モンバエルツ監督なのだ。ピッチ内とピッチ外に齟齬が生まれてしまっては、結果としてチームは機能しない。互いの擦り合わせという言葉で片づけられるほど、根が浅い話ではない。

クラブが方向性を打ち出し、選ばれた現場の最高責任者である監督がチームを作り、選手がピッチでパフォーマンスを見せる。この順序が守られず、どこかで歯車が狂っているのだとしたら、大きな問題だ。4勝1分5敗という戦績はいまのチーム力を表しており、残念ながらリーグ上位のチームには及ばない。

看過できない3連敗だ。

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